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TOFの時代
三京ブームで生まれたようなカスタムマシンを主軸とする草レース。しかも誰もが参加可能な敷居の低さ。そして、さまざまな野心にあふれていたのがTOFというレースだったのだ。
カスタムとレースとを融合させた新機軸で注目
1990年、70〜80年代のカスタムマシンで競われる草レースTOFが初開催された。TOFが成立するには、まず80年代末から90年代前半に盛り上がっていたカスタムブームの存在が外せないところだ。最新スポーツモデルFZR1000やGSX-R1100の足まわりや、貴重なレーシングパーツで空冷ZやCB-F、GSX-Sカタナをカスタムする姿は、当時のバイク雑誌で盛んにもてはやされたものだ。その盛り上がりを見せるカスタムシーンをもっと盛り上げるべく、レースができないかと各方面に積極的に働きかけたのがイエローコーン・杉田 均代表だったと当時を知る関係者は証言する。
そしてTOFの歴史がスタートするが、ハッキリ言うと当時の有名ショップはそっぽを向くところも少なくなかったという。当時はすでにアルミフレームが主流になっていたし、エンジンも最新型はV型だった。あえて空冷四気筒や鉄フレーム車に注目するレーシング畑のショップは少なく、さらにカスタムとレースは別と割り切って、参加を渋っていたカスタムショップも少なくなかったそうだ。その反面、当時のカスタムブームに乗って起業したばかりのショップにとっては名前を売る千載一遇のチャンスになった。当時はレース全般に対するバイクユーザーの関心が高く、草レースとはいえ雑誌などが取り扱う機会が多かったTOFで活躍、あるいは優勝すれば知名度が上がり、売り上げも伸びた時代だったのだ。