親しみとハイエンドが両立するテイスト・オブ・ツクバという舞台
この入手可能なパーツ、という点では、ハーキュリーズクラスよりレギュレーションが厳しい(=改造範囲の制限がある)クラスのほうが参考にしやすいかもしれない。そういった意味では1970~80年代の空冷Z系を主体としたモンスタークラスや、XJR1200やゼファー1100など大排気量空冷ネイキッドが参戦するモンスターエヴォリューション、水冷ビッグネイキッドが主体となるF-ZEROクラスは我々にとって非常に近しいスタイルやマシンでもあり、車両そのものも見どころ満載というべきだろう。
ただ、それとは別にハイエンドを見たいのなら、間違いなくハーキュリーズクラスがお勧めとなる。とくに今回はチームカガヤマが持ち込んだ鐡隼(てつぶさ)は、何とGSX1300Rハヤブサを鉄フレーム化したマシン。オリジナルフレームが認められ、かつ鉄フレーム車以外の参戦が認められないからこその内容となるわけだが、こういった公道仕様車では誰もやらない(というより認可の問題でほぼ不可能な)カスタムメニューと、その実車を間近で見るチャンスでもあるわけだ。今回はチームカガヤマが注目株となったが、過去には同じく高年式アルミフレーム採用の水冷車を鉄フレーム化するメニューで挑んだチームもあり、毎回ごとにどんなチームがどんなマシンで挑むのかも見どころといえる。
“レース”というと、心理的に少しご遠慮したい人が少なくないというのも事実だろう。MotoGPや鈴鹿8耐をバイクユーザー全員が注目しているわけではないのと同じ理由で、自分にとって縁遠い存在がどんなアグレッシュブな競い合いをしたとしても興味を持てない人もいるかもしれない。そんな人にこそテイスト・オブ・ツクバは身近な存在が可能性を示す場として、少しでも関心を持ってもらえればとも思う。このレースは特別な人たちが特別なマシンや特別なパーツを駆使しているわけではない。ほとんどの参戦者はレース翌日にも働かなければいけない人ばかりだし、マシンだってパーツだって自腹を切って購入して、休みを取って練習に通っていたりするわけだ。このあたりは我々と何ら変わりない。逆を言えば、我々だって決心さえすればテイストライダーになることは夢でもなんでもないのだ。
そしてレースに関心がなくても、バイク系大型イベントとして捉えて来場する人だっている。レースイベントはレースに強い関心がなければ来てはいけない、なんてことはない。鈴鹿8耐やMotoGP日本ラウンドを一種のお祭りとして楽しんでいる人も多いのだから、そういった捉え方でテイスト・オブ・ツクバに遊びに行ってみてはいかがだろうか?
次回開催は11月5日(土)、6日(日)。次回はまだテイスト・オブ・ツクバを体感したことがない人こそ訪れてみていただきたい。
Busa-Tomo.netミーティングも開催!
今回、加賀山就臣選手が鐡隼で参戦することから、GSX1300RハヤブサのオーナーズコミュニティBusa-Tomo.netもテイスト・オブ・ツクバの会場で日曜日にミーティングを開催! 従来の一般用バイク駐車スペースをすべて借り切って全国から多数のハヤブサが訪れていた。またじゃんけん大会には加賀山選手も参加し、さらにレース終了後には筑波サーキットを加賀山選手と周回するというサービスも。この数年、大規模ミーティングが実施しにくい環境だったこともあってか、参加者たちも久しぶりの仲間との歓談を楽しむ姿があちこちで見られた。