カスタム人気が今なお高いGPZ900Rだが、かつては定番・人気だったカスタムパーツもかなりの数が廃番になっている。そのなかでも需要が大きいものの入手困難になったパーツとしてはカムシャフトが挙げられるが、このたびヨシムラジャパンにヨシムラジャパンテクニカルショップであるトレーディングガレージナカガワが協力し、ヨシムラジャパンが過去発売していたST-1カムシャフトと同じプロファイルで、より軽量化を図って中空化されたST-1MカムシャフトとしてGPZ900R用を再登場させることになった。さらに耐摩耗性や焼き付き耐性にすぐれ、フリクション低減効果があるDLC(ダイヤモンド・ライク・コーティング)を施工しているのも特徴となる。
なお、本製品は特殊な条件下で発売されることになっている。GPZ900Rは古くからカムシャフトのカジリ問題がよく取り上げられ、それは材質が悪いためだとか、エンジン設計が古いためだと取りざたされるケースが多い。ただし、GPZ900Rはあらゆる条件下で全個体にカジりが必ず発生するわけではない。とくに今回、トレーティングガレージナカガワによって1万㎞の実走試験が行なわれ、トレーディングガレージナカガワ推奨の管理をしっかり行なえば、カムシャフトにカジリが発生しないことはヨシムラジャパン側にも確認されている。その実績をもって、GPZ900Rエンジンに精通し、深い専門知識と高い技術を持つショップ経由でなら”ヨシムラのカムシャフト”を問題なく運用できると判断し、先行販売経路をトレーディングガレージナカガワに一本化したのだという。
そのため本製品を入手するにはトレーディングガレージナカガワに依頼して同社で取り付けるか、同社がGPZ900R系エンジンチューニングに実績があると信頼し、かつ装着時および装着後のデータを共有してもらえるショップにのみ販売されることになる。量販店に対する卸売りや個人に対する小売りは現段階ではないということだ。
そのうえで、同社推奨の運用を実施してもらうことになる、とトレーディングガレージナカガワ・中川和彦代表は語る。同社で取り付ける場合でも、運用条件などに関して同意を得られることを前提に取り付け販売を行なうとのこと。詳細についてはトレーディングガレージナカガワに問い合わせいただきたい。
これほど運用に関して管理を徹底する姿勢なのは、それだけ”正しく使用をして、しっかりと性能を楽しんでもらいたい”との思いからだとはヨシムラジャパン、トレーディングガレージナカガワ両社から出てきた言葉だ。その点、両社の思いを無為にしないよう購入者も正しい運用を心がけて楽しんでいただきたい。
GPZ900R ST-1M DLC カムシャフト
価格:24万2,000円(税込み)
データ
車輌型式 | ZX900-A1~A16 |
---|---|
タイプ | ST-1M DLC |
MAX LIFT(mm) | IN 9.8mm/EX 9.5mm |
1mm DURATION(°) | IN IN 248°/EX EX 248° |
標準タペットクリアランス(mm) | IN 0.15mm/EX 0.15mm |