オーダーは『最高のマシンにしてほしい』
1972年にカワサキから送り出された空冷Zシリーズは、50年経っても人気を集めるマシンだ。往年の雰囲気で楽しむ者もいれば、手を加えて現代的な乗り味にする者も。後者はカスタムであり、これまでにさまざまなスタイルが生まれてきた。
ブルドックは20年近く空冷Zと向き合い、ジェニュインチューニングマシン(GT-M)を送り出してきた。90年代以降に登場したネイキッドモデルと違い、空冷Z系でパフォーマンスを高めるべく作り込むとフレーム補強などの大がかりな作業が必要になる。加えて生産から時間が経過しているため、経年劣化も進行。その劣化がトラブルの原因になることも多い。そこで、エンジンから電装系をはじめ、細部まで手を入れることで、新車なみのコンディションを付与するコンプリートマシンがGT-Mなのだ。
また理想を追求するうえで、排気量アップのためのボーリングやホーニング、フレームが適正な状態かを判断するための治具および補強などの加工なども自社で行なう。そのため、製作から完成まで時間がかかるが、多くのファンがオーダーし続ける。さらに完成度を高めるためのオリジナルパーツも多数生み出してきた。
このZ1Rは他店にて前後17インチホイール化などが行なわれたカスタム仕様だったという。かなり前に製作されたこともあり、リフレッシュとさらなるパフォーマンスアップを求めてブルドックにGT-M化を依頼したという。オーダーは『最高のマシンにしてほしい』だった。
エンジンは排気量アップ+ハイカムシャフトだけでなく、マッコイの6速クロスミッションや乾式&スリッパークラッチ、アルミ削り出しシリンダー、コンロッド&強化オイルポンプなど、一部は製作がスタートしてからリリースされたパーツを積極的に導入。吸排気系の変更も相まって、前仕様を上回るパワーを発揮するようになった。そのパワーをしっかりと受け止め、現代的なマシンのようにスポーティな走りを味わえるよう、車体&足まわりも大幅に刷新。フレームの加工をはじめ、その内容は多岐にわたる。
外装もZ1Rの雰囲気を残しつつ、アルミタンクやシングルシートなども相まって、古さをまったく感じさせない。オーナーも生まれ変わったマシンで、今まで以上の走りを満喫していることだろう。
カスタムポイント
エンジンの排気量は1,260㏄にアップ。アルミ削り出しのシリンダー、新しく開発したコンロッドや強化オイルポンプなどを組み込んだ。さらにクランクシャフトは新品同様にリビルド。これらもあって、高出力化をはたしても耐久性が確保され、振動の少ないエンジンに仕上がっているのだという
カスタムパーツギャラリー
「Z1R by ブルドック」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,260㏄ |
---|---|
ピストン | ピスタルレーシング×マッコイ 78㎜ |
コンロッド | マッコイ |
カムシャフト | ケントカムST-2 |
ミッション | マッコイ |
クラッチ | マッコイ |
エキゾーストシステム | ウィンマッコイネオ |
キャブレター | ヨシムラ TMR-MJN φ36㎜ |
ホイール | ラヴォランテ スフィダーレ(F=3.50-17・R=6.00-17) |
タイヤ | ブリヂストン RS11(F=120/70ZR17・R=200/55ZR17) |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ ラジアル4ポット ローター:サンスター×マッコイ マスター:ブレンボ ラジアルポンプ |
Fフォーク | ナイトロン×マッコイ |
ブラケット | マッコイ |
Rショック | ナイトロン×マッコイ |
スイングアーム | マッコイ |
ステアリングダンパー | ハイパープロ |
ステップ | マッコイ |