カスタムマシン製作の老舗ショップの一つ、サンクチュアリー本店。歴史に裏付けされた確かな技術と美しい仕上がりを見せる同社カスタムコンプリートマシン”RCM”には日本のみならず世界中にファンがいるほどで、実際に本誌でもアメリカや台湾、オランダ、東欧諸国からオーダーされたRCMを何台も掲載している。そして今回紹介するGSX1100Sカタナもまた、台湾からのオーダーで製作された一台となる。
ちなみにこのオーナーはすでにCB900FのRCMを所有しており、2台目のRCMが欲しいということで、日本国内でも希少になったGSX1100Sカタナを台湾から輸送し、サンクチュアリー本店でカスタムして再送するという非常にコストをかけた発注としている。それだけRCMの価値を認め、またカスタムしたいベースも厳選しているというわけだ。
ただ、GSX1100Sカタナは今や希少になったと同時に、発売された当時の状態を維持することも難しくなっているのが実態だ。そもそも、RCMとはそのフルノーマルの上を行くことはもちろん、オーナーしだいでは最高レベルでの旋回性能を発揮可能なハイスペック化をめざしたカスタムマシンとなっている。そのためにも車両は完全に分解し、フレームであればレーザー精密測定や必要があれば曲がり修正、さらには現代的な走行性能を得るうえで欠かせない17インチハイグリップタイヤの応力に耐えうるフレーム強度と17インチ化に合わせたディメンションの再構築など、多岐にわたるメニューが注ぎ込まれることになる。
そして、そうやって再構築したフレームをベースに、リフレッシュしたエンジンや最新・最高峰スペックのカスタムパーツで車体全体を再設定している。こうやって骨格から作り込む作業なのは、コンプリートという手法ならでは。これにより足まわりだけ、エンジンだけという依頼ではなかなか実現できない一体感が生まれることになる。カスタムマシンのコンプリート化によって一から車体をトータルコーディネイトする重要性が、サンクチュアリー本店製作のRCMはよく物語っている。
当然、それらは熟練のスタッフでなければ行ない得ないことだとは言うまでもないだろう。「掲載車両と同じパーツ、同じ手法を駆使しても掲載車両のような完成度が得られない」とは、一般ユーザーからもよく聞かれる話だ。部分的にはマネできたり再現できたとしても、トータルで見ればなぜか同じにならない。そういった違いを生み出すからこそ、RCMはカスタムシーンで輝いているのだ。
カスタムポイント
「GSX1100S KATANA by サンクチュアリー本店」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,135㎤ |
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ピストン | ノーブレストヴォスナーφ74㎜ |
キャブレター | ヨシムラTMR-MJNφ40㎜ |
エキゾーストシステム | ナイトロレーシング |
オイルクーラー | ナイトロレーシング |
ホイール | (F)O・Zレーシング ガスRS-A 3.50-17 (R)O・Zレーシング ガスRS-A 5.50-17 |
タイヤ | ピレリ ディアブロロッソⅢ |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ ラジアル4ポット ローター:サンスター RCMコンセプト マスター:ブレンボ ラジアルポンプ ホース:アレグリ |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット ローター:サンスター |
Fフォーク | オーリンズ |
ブラケット | スカルプチャー |
Rショック | オーリンズ |
スイングアーム | スカルプチャー |
ハンドルバー | デイトナ |
ステップ | ナイトロレーシング |
ペイント | YFデザイン |