プロフェッショナルカスタムマシン

プロの製作したカスタムマシンは、市販化されたパーツをただ取り付けるだけではない。取り付けたパーツの性能をフルに発揮できるようにセッティングしたり、細かいフィッティングにもこだわっていて、それがひいてはマシンとしての完成度の高さに結び付いているのだ。その実例をここでは紹介する。

カワサキ
Z1000MkⅡ by サンクチュアリー本店

堂々としたZ1000MkⅡの威容をそのままに前後18インチでパフォーマンスアップを図る

Z1000MkⅡ by サンクチュアリー本店

ページを共有

現代のロードスポーツモデル、それもハイパフォーマンスを追求するモデルは例外なく前後17インチホイールを採用している。そしてタイヤメーカーもその主流である17インチ用を前提としてハイパフォーマンスなタイヤをリリースしている。バイクの旋回性などはタイヤへの依存度が高いこともあり、必然的にハイパフォーマンスを追求するなら17インチ、という選択が定まって久しい。

もともと17インチではなく、18インチや19インチを採用する空冷Z系にあっても、走行性能を追求するうえで17インチ化は定番ともいえるカスタムメニューだ。ただし、定番といえるほど普及したスタイルではありながらフレーム全体の構成を見直し、ディメンションを再構築する必要があることから、安易なカスタムメニューとは言えないのが難点となっている。だが、サンクチュアリー本店は旧車であっても現代的な走行性能を突き詰めるため、この17インチ化に着手することがほとんどだ。とくにカスタムコンプリート“RCM”として製作される場合、ほとんどのカスタムマシンが17インチ仕様となっている。

しかし、一方で車体ディメンションを再構築する必要がなく、かつ足まわりの強化は可能で、さらに旧車ならではの存在感をそのままに保持できる前後18インチという選択肢も空冷Z系では多い。そしてオーナーもその選択肢を望んだこともあり、今回紹介するZ1000MkⅡは前後18インチ化仕様として製作された。

Z1000MkⅡ by サンクチュアリー本店

上でも17インチが現代の主流だと書いたことからも、18インチだと17インチ仕様車より走行性能は落ちる、と思われる人がいるだろう。もちろん突き詰めていけば17インチが優位だろうが、サンクチュアリー本店は高性能パーツと各部の設定を徹底的に追い込むことでこの差を解消。使用ホイールはかつてカワサキワークスチームでも採用された実績があるJBパワー・マグ鍛とし、タイヤもブリヂストンT32と近年のスポーツラジアルタイヤを組み合わせることで18インチながら17インチマシンに匹敵する走行性能を獲得している。またJBパワー・マグ鍛以外にも、オーリンズやブレンボ、サンスターなど国内外の一級品で用意し、その性能をフルに発揮できる車体を構築した。

カスタムとはパーツを装着すれば無条件でそのパーツの性能がフルに引き出されるわけではない。たとえばフルブレーキングした際に強力な制動力を発揮可能なブレーキまわりを与えるのなら、その制動力に耐えられる車体が必要だ。フルブレーキングごとにフロントやリヤがヨレるようでは安心して走れないからだ。加速や旋回も同じで、どんな状況でも安定した状態を維持できるマシンが結局のところ速く走れるマシンになる。反面、鉄フレーム車はフレームのしなりを利用して走っているので、フレーム剛性をただむやみに強化すれば走りやすくなるわけではない、というなかなかに難しい面も要求される。一部のみ性能を突出させるのではなく、車体トータルでカスタムを考慮し、全体を構築する。一括してカスタムを依頼するコンプリートメニューの利点はここにあり、それゆえに全体を俯瞰して構築したからこそ、本来、同社では多数派ではない18インチマシンでも、17インチマシンに匹敵する高い走行性能を与えることができたのだ。

カスタムポイント

Z1000MkⅡ by サンクチュアリー本店

同社がオーリンズ製正立フロントフォーク交換時に必要になるステムキットやフロントフェンダーなどを一括セットにしたE×Mパッケージに18インチ用セットが新設定。とくにホイールカラーもセットになっているので、JBパワー・マグ鍛やPMC・ソードなどのZ1000MkⅡ用18インチホイールでオーリンズ製正立フロントフォークを使用したいユーザーにお勧めのセットだ


カスタムパーツギャラリー

問い合わせサンクチュアリー本店
住所千葉県柏市大井554-1
電話番号047-199-9712
Webサイトhttp://www.ac-sanctuary.co.jp



人気記事