プロフェッショナルカスタムマシン

プロの製作したカスタムマシンは、市販化されたパーツをただ取り付けるだけではない。取り付けたパーツの性能をフルに発揮できるようにセッティングしたり、細かいフィッティングにもこだわっていて、それがひいてはマシンとしての完成度の高さに結び付いているのだ。その実例をここでは紹介する。

カワサキ
GPZ900R by サンクチュアリー本店

オーナーの意思を尊重しつつ作り込んだRCMスポーツパッケージ・タイプR

GPZ900R by サンクチュアリー本店

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ロングヒットセラーモデルとして非常に高い人気を誇るGPZ900R。1984年生まれながら2003年まで継続生産されていたことから『比較的新しい車種』という認識の人も少なくないかもしれない。しかし、残念ながら生産終了から20年近くが経過する現在、歴とした旧車という扱いにならざるを得ないのが実態だ。最終型ですら旧車扱いなのだから、それ以前は推して知るべし。そのためサンクチュアリー本店が中古のGPZ900Rベースでカスタムマシンを製作する際は、ほぼすべてに手を入れ直さないと安全に走行できないと判断するほど程度が年々悪化しているという。

かつて、サンクチュアリー本店のGPZ900Rベースのカスタムコンプリート“RCM”メニューは、エンジンスワップをも含めたフルカスタムメニューのフォーミュラーパッケージと、エンジンはGPZ900Rベースのスポーツパッケージの2パターンがあった。さらにスポーツパッケージにはエンジンはそのままで足まわりを徹底的にバージョンアップするタイプRと、よりライトなメニューで構築するタイプSに分岐していた。しかし、前述したようにベース車両の程度が年々悪化する事態を受け、タイプSは事実上取り扱いをストップ。タイプRもメインハーネスを高年式モデルからの流用により新品引き直しとエンジンオーバーホールを前提としたニュータイプR(※便宜上ニュータイプRと呼称するが同社での呼称はタイプRのまま)へとメニューを進化された。そして現状、ベース車両を持ち込みであっても、その程度によってはニュータイプRベースでのメニュー化を推奨しているという。

ただ、今回持ち込まれたGPZ900Rは非常に程度がよく、タイプRベースのメニューで作り込むことを前提としながらもメインハーネスの交換までは必要ないと判断し、必要なパートのみ見直す形でカスタムがスタート。基本的にRCMとは『旧車であっても現代の交通事情に通用する高い走行性能を追求する』ことが骨子となり、その結果として車体全体から見直すことが多いが、オーナーの持ち込み車両であればオーナーの希望がなければ交換が必須となるほど劣化したモノでない限り、そのまま再利用することも多いのだという。このあたりは『コンプリートマシン』として紹介されているRCMであっても、何もかもがショップのお仕着せで作るというわけではなく、あくまで主役はオーナーの意思にあるといっていい。

さて、そんなオーナーの意思を忠実に再現するのは、サンクチュアリー本店がこれまで20年以上の歴史で培ってきた高いノウハウと世界一級品のパーツ群だ。使用されるパーツはブレンボ、オーリンズ、O・Zレーシング、サンスターとレースシーンに興味がある人なら一度は聞いたことがあるブランド製ばかりだ。それを同社の高いノウハウに基づいて車体に取り付け、機能させる。ただ取り付けただけでは到達不可能な走行性能を追求するためロードテストやシャーシダイナモによるチェックも欠かせない要素だ。

GPZ900R by サンクチュアリー本店

なお、たまに『ストリートを主体とするのなら高性能すぎるパーツは不要』という声も聞くが、高性能なパーツは限界点を高く引き上げることができるのが最大の利点。そして低い限界値でも高い性能を発揮してくれるのが魅力でもある。ストリートでも軽量ホイールの恩恵は車線変更レベルで実感できるし、意図どおりに制動力を制御できる高性能ブレーキは公道上のどんな状況にも対応しやすくなる。サスペンションまわりも言わずもがなだ。これはライダーのスキルを問わず高性能を発揮してくれるし、ライダーのスキルが高くなればなるほど高い限界性能をフルに引き出すことを楽しめる。ゆえにサンクチュアリー本店は高性能パーツをふんだんに用い、あらゆるニーズに満足してもらえるマシンづくりを邁進しているのだ。

それが不要だと思えば別に強制される謂れはないので、仮にサンクチュアリー本店の提案であってもNOと言えばいい。前述したようにRCMとはオーナーの意思がまず前提であり、使用するパーツの採用はオーナーが可否を判断するものだ。しかし、ほぼすべてのオーナーは妥協を知らないどころか、メニューの検討中にハイスペック化していく傾向が強いという。何も同社にカスタムマシンの製作を依頼する全員が全員、性能至上主義というわけではないのだが、ハイスペック化を追求することで生まれたカスタムマシンの美しい仕上がりには人を惹きつけて止まない魅力がある、と多くの人たちも感じていることだろう。オーナーの想いと、それを実現するべくサンクチュアリーのノウハウが込められたこのGPZ900R。それゆえに高いレベルで仕上げられた内容となったのだ。

カスタムポイント

GPZ900R by サンクチュアリー本店 エンジン

エンジンはノーブレストヴォスナー製ピストンで958㏄までボアアップしたほか、ガンコートによりリペイント、クランクの曲がり修正やジャーナル部のラッピング処理など多岐に渡って手が入る。鋭いレスポンスとハイパワー化、そしてロングライフを獲得するためのメニューだ


カスタムパーツギャラリー

問い合わせサンクチュアリー本店
住所千葉県柏市大井554-1
電話番号047-199-9712
Webサイトhttp://www.ac-sanctuary.co.jp



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