プロフェッショナルカスタムマシン

プロの製作したカスタムマシンは、市販化されたパーツをただ取り付けるだけではない。取り付けたパーツの性能をフルに発揮できるようにセッティングしたり、細かいフィッティングにもこだわっていて、それがひいてはマシンとしての完成度の高さに結び付いているのだ。その実例をここでは紹介する。

カワサキ
Z1R by サンクチュアリー本店

Z1Rのカフェレーサーテイストを重視しつつも現代のロードゴーイングマシンとしての性能も磨く

Z1R by サンクチュアリー本店

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セパレートハンドルを採用するマシンとは、基本的に車体を抑えつつライダーの重心位置を下げたり、あるいはフロント荷重しやすくするための姿勢作りだ。もちろん自然に立ったり座ったりしている姿勢からかけ離れた前傾姿勢を強要されるため、身体的に負担が生じることがあるのも事実だが、そのスパルタンな姿勢はレーシングテイストを重視するユーザーにとっては切り離せない要素でもあり、理想形を追求するうえで外せないと考えている人も少なくないだろう。そんなオーナーの意を汲み、セパレートハンドルで低く構えたスパルタンな姿勢で作り込まれたのが、サンクチュアリー本店が製作したこのZ1R、同社で言うところのRCM-568だ。

Z1R by サンクチュアリー本店

セパレートハンドルとビキニカウルという組み合わせは、いわゆるカフェレーサーにとってマストアイテムともいえる。そしてZ1Rはそのカフェレーサーテイストをカワサキが追求し、生まれたモデルでもある。そのテイストを現代的にリファインし、さらに現代に通用する走行性能を与える。サンクチュアリー本店が作り上げてきたカスタムコンプリートマシンRCMとは、基本的に歴代フラッグシップの存在感と失われた栄光を再び与えるための作業だ。存在感とは現代のカスタムシーンでも第一級の存在感を与える佇まいを持たせ、時代とともに相対的に低くなった走行性能を現代の水準まで引き上げて現代のストリートシーンでも一級の走りを発揮し得る性能を与えることでもある。言葉にすれば簡単だが、そこには数々の作業、というよりもほぼすべてをリビルドし直す作業が待ち構えている。そのためこのマシンも製作期間に1年を要する大事業となった。

存在感という部分は主観によって左右される部分もあり、カスタムマシンにとって絶対的な価値基準があるわけではないのが難しいところだが、サンクチュアリー本店の姿勢はかなり明確だ。全体的には渋めのカラーリングを採用し、車体中央はほぼブラックのみが使われている。アルマイトもブラックに着色するケースが大半で、派手な色合いを避ける傾向が強い。これはパーツ単体に注目を集めるのではなく、車体姿勢などを含めたマシンとしての雰囲気を重視しているから。だからこそハイエンドのカスタムマシンとして注目を集め、多くのファンに支持されているのではないだろうか。

そして、ただ見た目だけを整えているわけではなく、しっかりと走れる実力を付与。そのためにブレンボやオーリンズ、O・Zレーシング、サンスターなど第一級と広く認められているブランド製パーツを用いている。これは以前、同社・中村博行代表にも尋ねたことがあるのだが、なぜハイエンドパーツばかり使用するのかというと、そこに妥協を見出したくないからという答えが返ってきたものだ。ハイレベルな走行性能とはパーツ単体の性能に依存して発揮されるわけではないが、パーツ単体の限界性能が高ければ総合的に引き上げられる性能も高くなる。その積み重ねで、現行車に比べれば設計技術的にも劣るのが否めない旧車であっても、現行車に肉薄する性能を追求することができるというわけだ。オーナーがそんな性能を実際に発揮させないにしても、作り手の心意気はまた別。そして、その心意気を見る人たちも感じ取り、こんなマシンを自分も欲しいと思わせているのだろう。

妥協を極力排除して製作には㎜単位で打ち込み、オーナーの理想の形を作り上げつつ、しっかりとした実力を与える。そのため製作には1年を要する大作となったが、それだけに見る者を納得させる佇まいを見せるRCM-568。同じようなパーツを使うマシンは作れても、サンクチュアリー製だからこその姿はなかなかマネできない。それは入魂の作品だからだ。

カスタムポイント

Z1R by サンクチュアリー本店 エンジン

エンジンはノーブレストヴォスナー製ピストンを用いて1,166㏄化し、5.5㎜ステム径のビッグバルブ化やヨシムラST-2カムシャフト、ツインプラグ加工などを用いて高回転型にチューニング。それでいてボアアップに加えて6速クロスミッションの恩恵もあって、立ち上がりなどで鋭い加速を見せるように仕上げられた。なおバルブ用専用リテーナーはRCM USAのオリジナルフレームA-16を採用するZレーサー3号機のエンジンチューニングのノウハウをストリート向けに仕様変更したものだ


カスタムパーツギャラリー

問い合わせサンクチュアリー本店
住所千葉県柏市大井554-1
電話番号047-199-9712
Webサイトhttp://www.ac-sanctuary.co.jp



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