サンクチュアリー本店を旗艦店とするサンクチュアリーグループが手がけるカスタムコンプリート”RCM”。2000年からサンクチュアリーグループで製作されたフルカスタムマシンに与えられる称号でもあるが、この21年で通算製作数は570台を突破し、さらに今後も増加することが確定しているほど人気を博している。そのなかでも記念すべきキリ番の500台目となったのが、このGSX1100Sカタナである。
RCM-500こと、このGSX1100Sカタナはラスベガス在住のアメリカ人からの依頼で製作された。基本的に同社が海外から注文を受ける際は、国内からの依頼と同様にベース車探しからスタートすることも多いとのことだが、今回は所有していたベース車をカスタムしたいとの依頼となった。そこで同社スタッフが渡米し、同社系列のRCM USA社で車体を受け取り、その場で分解して必要な部位のみを日本に輸送。そしてサンクチュアリー本店にて製作という段階を踏んでいる。なかなかに大変な工程ではあるが、もともと海外からカスタムマシン製作を依頼するのは並大抵の情熱ではない話。そのオーナーの意気に応えるべく同社は腕を奮ったとのことだ。
デザインやカラーコーディネイトはオーナー自らが担当。もともと同社ではRCM製作に際してはオーダーメイドを採用しており、根幹部分を同社開発のスカルプチャーやナイトロレーシング、そしてブレンボやオーリンズ、サンスターなど国内外の定評ある高性能ブランドパーツで構成することはゆずれない事項となるが、それ以外はオーナーの希望を最大限叶えることを骨子としている。カスタムコンプリートとは言いながら、決して同社のお仕着せしか注文できないわけではない。あくまでカスタムマシンであることを重視し、まったく同じ仕様を量産するつもりはない、とかつて同社・中村博行代表も語ったところだ。そういったこともあり、外観上もっとも特徴的なパートになるであろうシートカウルもオーナーが選定。ベースはクレバーウルフ製の2015年式YZF-R1用シートカウルで、このおかげで後方から見たシルエットはパッと見ではGSX1100Sカタナとは思えない、独特の存在感を放つことにつながった。もちろんこのシート装着もボルトオンというわけではなく、シートレールの新造からシート下の処理など、ほぼ車両後方を作り直すことになった。そのほぼすべての構成パーツを単品製作・加工の繰り返しで非常に手間がかかっているのだとか。
またマフラーも昨今ではめずらしさすら感じさせる両サイド2本出しマフラーだが、これは廃番になっていたGSX1100Sカタナ用ナイトロレーシングのウェルドチタン4-2-1を4-2-1-2に加工して製作したモノ。レトロテイストを求めて2本出しマフラーにこだわるユーザーも多いが、既存のマフラーを改造してまで2本出しにするケースは、今となってはごく少数派だろう。もちろん手間はかかるし工賃も必要。もっといえば厳密にはセッティングデータだって変わってくるので吸排気セットアップにも時間を要することになる。しかしオーナーのこだわりに最大限応えることを優先させたため、マシン製作期間も3年に及ぶという大作となった。
しかし、その甲斐があるといっていいほど完成度の高さは目を見張るものがあるこのマシン。RCMの記念すべきキリ番はいずれも本誌誌面版で掲載時も大きな反響を読んだものだが、このマシンもレストア中心に移行しつつあるカタナカスタムにとってマイルストーンになるのではないだろうか。
カスタムポイント
カスタムパーツギャラリー
「GSX1100S KATANA by サンクチュアリー本店」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,135㎤ |
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ピストン | ノーブレストヴォスナーφ74㎜ |
カムシャフト | ヨシムラST-1 |
キャブレター | ヨシムラTMR-MJNφ40㎜ |
エキゾーストシステム | ナイトロレーシング特注ツインテール仕様 |
オイルクーラー | ナイトロレーシング |
点火系 | ASウオタニ SPⅡ |
ホイール | (F)O・Zレーシング ガスRS-A 3.50-17 (R)O・Zレーシング ガスRS-A 5.50-17 |
タイヤ | ピレリ ディアブロ |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ ラジアル4ポット ローター:サンスター RCMコンセプト マスター:ブレンボ ラジアルポンプ レバー:ジータ RCMコンセプト |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット ローター:サンスター |
Fフォーク | オーリンズ |
ブラケット | スカルプチャー |
Rショック | オーリンズ |
スイングアーム | スカルプチャー |
ハンドルバー | デイトナ RCMコンセプト |
シート | クレバーウルフ(YZF-R1用) |
ステップ | ナイトロレーシング |
スクリーン | オオノスピード |