1970〜80年代にリリースされた当時のフラッグシップモデルを中心に、現代的な走行性能を与え、再びフラッグシップモデルとしての存在感や性能を与えようというのが、サンクチュアリー本店を旗艦店とするサンクチュアリーグループが手がけるコンプリートマシンRCM。このZ1000MkⅡもその1台だ。
長くバイクフリークたちに愛されてきたカワサキの空冷Zシリーズも、製造から40〜50年近い年月が経過して希少化が進み、価格が高騰化している。とりわけわずか2年で生産が終了したZ1000MkⅡなどは、今や最新スーパースポーツモデル2〜3台分の価格になってしまった。「子供のころにあこがれだった空冷Zを、今こそ」という人も少なくないだろうが、もはや一般的なサラリーマンが安易に買い求められる存在ではなくなった。
このマシンのオーナーは、そんな厳しさが増す流通事情の中でも最高峰のマシンに乗りたいとサンクチュアリー本店にZ1000MkⅡベースのRCM製作を依頼。そのオーナーの熱意に応えるべく、RCMとして培ったノウハウが注ぎ込まれているのだ。
RCMの根幹には同社が長年つちかってきたノウハウにより、一定の基準が存在する。その一つがシャーシだ。現代的な走行性能を得るうえで17インチ・ハイグリップラジアルタイヤは欠かせない。しかし空冷Z純正の華奢なフレームのままでは、現代のハイグリップタイヤの応力に負ける。それにフロント19インチ・リヤ18インチ(※Z1R-1は前後18インチ)のホイールを前後17インチにすれば、車体姿勢や重量配分などまるで変わってしまう。17インチホイール・タイヤには17インチに適した専用の車体姿勢やフレーム構成、そして足まわりのパーツといったモノが必須になるわけだ。
そこで車体姿勢の適正化のため、同社ではスカルプチャーと名付けられた機能パーツを開発。17インチ化することでの前傾姿勢を矯正するアッパー&アンダーブラケットやスイングアームはスカルプチャー製だ。これを根幹としてフレームはオリジナルの補強メニューとなるステージⅡとし、ハイグリップタイヤの応力に応じた強度を得た。また、現代のスポーツモデル用17インチラジアルタイヤの主流は180サイズとなり、純正よりかなりワイドになっているにも対応し、ドライブチェーンのオフセット用軌道を確保するインライン処理も加わる。
足まわりはというと、現行スポーツモデルに匹敵する走行性能をとO・Zレーシング製アルミ鍛造ホイールや、オーリンズ製前後ショックユニット、サンスターやブレンボ製ブレーキパーツといった世界的に高く評価されている第一級のパーツで構築。現代でも通用する走行性能が追求されている。
全体を見るとこのZ1000MkⅡも豪華な構成となっているが、これも「高性能なパーツを用いればイコールで高い走行性能が得られる」という単純な話ではない。つまるところ高い走行性能とはあらゆるシチュエーションで発揮されるべきであり、それは乗りやすくなくては実現できないものだ。マイペースに街中を流しているときも、ワインディングでスポーツ走行を楽しもうとするときも、はたまた高速道路をクルージングしているときにも乗りやすく、操りやすい状態であることが望ましい。その高い理想を実現するために、そしてはるか昔に輝いた空冷Zの栄光を取り戻すうえでも、全体のバランスを考えつつハイレベルなパーツでマシンを構築する。そこに妥協は潜ませない。それがサンクチュアリーのRCMに共通する哲学でもあるのだ。
カスタムポイント
カスタムパーツギャラリー
「Z1000MkⅡ by サンクチュアリー本店」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,045㎤ |
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ピストン | ピスタルレーシング |
キャブレター | ヨシムラTMR-MJNφ38㎜ |
エキゾーストシステム | ナイトロレーシング |
電装系 | ASウオタニ SPⅡ |
オイルクーラー | ナイトロレーシング×アールズ |
ホイール | (F)O・Zレーシング ガスRS-A 3.50-17 (R)O・Zレーシング ガスRS-A 5.50-17 |
タイヤ | ピレリ ディアブロ |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ4ポット ローター:サンスター マスター:ブレンボ ラジアルポンプ ホース:アレグリ |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット ローター:サンスター |
Fフォーク | オーリンズ |
ブラケット | スカルプチャー |
Rショック | オーリンズ |
スイングアーム | スカルプチャー |
ハンドルバー | ポッシュ |
ステップ | ナイトロレーシング |