空冷Z系を愛好する多くの人たちにとって、Z1とは最新・最高峰モデルとして登場したスポーツバイクという位置付けであるだろう。だからこそ登場から約50年が経過する今もなお、あこがれの存在であり続けるともいえる。
もちろん登場したのは50年も前のことだから、現代的な視点からすればさまざまな部分で劣るし、そもそも各部は経年劣化が進行していてバイクとしての“走る・曲がる・止まる”が十分に機能するとは言い難い。サンクチュアリー本店を旗艦店とするサンクチュアリーグループでは、そのあこがれの存在の空冷Z系に最新・最高峰の機能を再び与え、スポーツバイクとしてのアイデンティティを確立させるコンプリートマシンRCMを多数製作している。この“スポーツバイクとしてのアイデンティティを確立させる”ことはRCMを製作するうえでのコンセプトでもあり、単に高級なパーツをふんだんに取り入れるだけではなく、それらを機能させるトータルバランスにもこそ力を注いでいる部分だ。
このマシンのオーナーは、RCMのコンセプトに共感し、同社に製作を依頼。それも1年以上の時間を要して徹底的に作り込むことを希望した。そのオーナーの意気に応えるため、サンクチュアリー本店が腕を奮った存在でもあるのが、RCM-519と命名されたこのZ1なのだ。
なお、コンプリートマシンというと“製作側のお仕着せの仕様をそのまま採用する量産型バイク”という印象を持つ人もいるだろう。言葉の意味からするとそれはそれで間違ってはいないのだが、RCMはカスタムマシンであることを前提に、各オーナーの理想を実現するため選択の自由度が高いことも特徴となっている。基本的なパッケージにはスカルプチャーやナイトロレーシングといったサンクチュアリー開発のオリジナルパーツが用いられるものの、各部のパーツ選択の自由度は高いし、配色などはオーナーとの相談のうえで細部が詰められていく。またパーツの発注時には必ずといっていいほどオーナーと連絡を取り合い、確認を行ないつつの装着となるので、まさにオーナー好みの外観を構築することが可能。このZ1もオーナーの意向によってカラーコーディネイトされており、走りはもちろんその存在感においても際立っているのだ。
そしてオーナーとの相談によって各部の構成は妥協のない作り込みとなっている。フレームは前後17インチラジアルタイヤによるバードなライディングに対応したRCMオリジナルフレーム補強ST-Ⅱをほどこし、リヤ180サイズタイヤにも適合チェーンのオフセット軌道を確保するインライン処理やワイドレイダウン処理を追加。足まわりはというとサスペンションの基部にはスカルプチャーのブラケットとスイングアームを用い、オーリンズ製フロントフォークとリヤショックをセット。さらにホイールはO・Zレーシングの最新アルミ鍛造モデルとなるガスRS-Aをチョイスし、ハイレベルな走行シチュエーションにも対応できるようセットアップされた。ブレーキもブレンボ製CNCラジアルキャリパーやサンスターRCMコンセプトローターなどでコントローラブルな特性を追求している。
パワー面はエンジンのフルオーバーホールに加えてノーブレスト・ヴォスナーのピストンで1,165㏄化させたうえで地各種チューニングを実施。さらに吸排気をヨシムラTMR-MINφ38㎜キャブレターとナイトロレーシング製手曲げエキゾーストで整え、鋭いレスポンスとパワフルな加速感を得た。
同社がRCMと呼ばれるマシンを製作してから、すでに500台以上が世に放たれているが、空冷Z系というあこがれの対象を現代のスポーツマシンとして生まれ変わらせ、最新モデルに引けを取らない走行性能が与えられたこのマシン。サンクチュアリー本店入魂の一台だ。
カスタムポイント
カスタムパーツギャラリー
「Z1 by サンクチュアリー本店」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,156㎤ |
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ピストン | NOBLESTヴォスナーφ75㎜ |
カムシャフト | ウェブST-1 |
エキゾーストシステム | ナイトロレーシング |
キャブレター | ヨシムラTMR-MINφ38㎜ |
電装系 | ASウオタニ SPⅡ |
ホイール | (F)O・Zレーシング ガスRS-A 3.50-17 (R)O・Zレーシング ガスRS-A 6.00-17 |
タイヤ | ピレリ ディアブロ |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ ラジアル4ポット ローター:サンスター RCMコンセプト マスター:ブレンボ ラジアルポンプ ホース:アレグリ |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット ローター:サンスター |
Fフォーク | オーリンズ |
ブラケット | スカルプチャー |
Rショック | オーリンズ |
スイングアーム | スカルプチャー |
ハンドルバー | ポッシュ |
ステップ | ナイトロレーシング |
シート | デイトナ RCMコンセプト |
ペイント | YFデザイン |