プロフェッショナルカスタムマシン

プロの製作したカスタムマシンは、市販化されたパーツをただ取り付けるだけではない。取り付けたパーツの性能をフルに発揮できるようにセッティングしたり、細かいフィッティングにもこだわっていて、それがひいてはマシンとしての完成度の高さに結び付いているのだ。その実例をここでは紹介する。

カワサキ
Z1R by サンクチュアリー本店

オーナーの理想を具現化するとRCMの原点に行き着いた1台

Z1R by サンクチュアリー本店

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有名カスタムショップともなれば何度も雑誌などで取り上げられ、長く代名詞となるようなカスタムマシンが存在することもある。サンクチュアリー本店であればカスタムコンプリートマシンRCMそのものがそれに該当するだろうが、そのなかでも特筆するとなれば、かつてカスタム系雑誌でよく取り上げられていた中村博行代表の愛車Z1R=RCM-001がRCM、ひいてはサンクチュアリーの原点でもあり、代名詞といえるだろう。そして2020年現在、中村氏の愛車はRCM USA社製A16フレームにZ1Rエンジンを搭載し、純白の外装をまとった新生RCM-001としてリファインされている。RCM-001が進化したことで、今も昔もRCM-001こそがサンクチュアリー本店の代名詞であり最新のカスタムスタイルを伝える存在といえるかもしれない。

今回紹介するこのZ1Rは、RCM-001でも採用されたシングルシートにセパレートハンドル、そしてパールホワイトを踏襲している。ではRCM-001のレプリカ化を目的としたのかと思われそうだが、オーナーはもともとレプリカを作りたいと考えていたわけではなかったそうだ。ただ、オーナーの理想を具現化していくとこの仕様、このカラーリングにも行き着いたとのこと。もともとサンクチュアリー、ひいては中村代表としての理想を具現化させようとしたのがRCM-001であり、同社の姿勢や製作したマシンに共感して依頼する以上、似た存在になるのはある意味で必然なのだろうか。

Z1R by サンクチュアリー本店
Z1R by サンクチュアリー本店

さて、元をたどるとベース車はオーナーの持ち込みで、足まわりとフレームの加工をお願いしたいという作業依頼から同社に持ち込まれたものだ。ただしフレームとエンジン以外は欠品で、その後に話を詰めていくと、最終的にはすべてサンクチュアリーのファクトリーで完成させたいというリクエストになったとのこと。

欠品していたシートはTOMO FRP製シングルシートを採用。そのシートに合わせてシートレールは新造し直した。タンクはビーターのアルミ製だ。ビキニカウルはZ1R純正形状のモノだが、装着はフレームマウントに変更することでハンドリングを向上させている。

なお、Z1Rのビキニカウルをフレームマウント化させるとカウルが前に出っ張りすぎてしまい、ビジュアル面で大きな変化が生まれる。そこで同社では各部クリアランスを徹底して詰め、ミリ単位で調整している。機能を重視したら見た目が悪くなった、または見た目を追求したら機能が犠牲になった、ではなく、機能と見た目の両方が一定水準以上であることをRCMでは目指しているとのこと。こういったこだわりも見逃せないポイントだ。

それ以外にも車体を構成するパーツ類はO・Zレーシング製ホイール、ブレンボ製キャリパー、オーリンズ製ショックと第一級品で構築。エンジンは耐久性に重点を置いたオーバーホール主体のRCMライフパッケージでリビルド。そこに吸排気系と点火系パーツのアップグレードを加えて十分なトルク&パワー発揮が期待できる内容とした。

美しいビジュアルはもちろん、それに見合った機能を備えたこのZ1Rは、サンクチュアリーの今を代表する1台といえる存在だ。RCMとは見た目だけではなく、機能だけでもない、ともに備えてこそRCMであることを言葉ではなく存在で示している。

Z1R by サンクチュアリー本店
Z1R by サンクチュアリー本店

カスタムポイント

Z1R by サンクチュアリー本店 フロントカウルのマウント

Z1Rはビキニカウルとメーターがハンドルマウントのため、ハンドリングに重さを感じやすい。そこでこれらをフレームマウントさせることでハンドリングが劇的といえるほど改善できる。しかし、当然ながら見た目の変化が大きいので、ともすれば違和感が大きくなりすぎる。その違和感解消のため同社では細かい微調整を突き詰めているのだ。全体の完成度のため細部にこだわる。これは一貫した同社の姿勢だ。


カスタムパーツギャラリー

問い合わせサンクチュアリー本店
住所千葉県柏市大井554-1
電話番号047-199-9712
Webサイトhttp://www.ac-sanctuary.co.jp



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