カスタムの疑問

自分好みの乗り味やスタイルに愛機を構築していくのがカスタムだ。自由な発想のもと、理想形に近付けていくことは、バイクライフにおける楽しみの一つでもある。しかし、いくら自由な発想といっても、押さえておかなければいけないポイントは多数ある。公道を走る以上、安全面や法規面でクリアしなければならない要素は多く、また正常に各部を機能させるためのノウハウも必要になるのだ。そこで多くのライダーが抱いているであろうカスタムに対する疑問を抽出し、その解答を探っていく。

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交換時には事前に取り扱い説明書を確認

純正マフラーからアフターマフラーに交換する場合、DIYで作業する人も多いだろう。その際は製品の説明書に従って取り付けてほしい、とアールズ・ギアの樋渡 治代表は話す。

「製品には必ず取り扱い説明書があり、それに取り付け方法が記載されています。ただ、過去にマフラー交換をしたことがある人は、それを読まずに作業をしてしまうケースもあり、結果として『うまく装着できない』と連絡してくるケースがあります。とくに注意すべきはカウル付きの車両で、マフラーを装着した際にカウルに干渉してしまう場合がありますが、きちんと装着すればクリアランスは確保されるはずです。まずはしっかりと作業手順を確認して取り付け作業を行なうことが重要です」

最近のバイクは車体がコンパクトになっていることもあり、カウル付きのバイクでは取り付け方が悪ければカウルに干渉して、場合によってはカウルを溶かしてしまうこともある。また、マフラーの交換作業では純正マフラーを外す際に注意が必要。というのも、純正マフラーは重量があるため。できれば補助してくれる人と一緒に作業を行ないたい。

交換前の注意点とは?

通常、市販品を購入するとパッケージにはエキゾーストパイプ、集合部、テールパイプ、サイレンサーがそれぞれ分割されて収納されていることが多い。それに加えて取り扱い説明書が同封される。装着にあたっては取り扱い説明書の記載どおりに各パーツを車体に装着しながら組み立てることになる。取り扱い説明書にある必要な工具もそろえて、目を通してから作業してほしい。きちんと装着できていないとカウルと干渉することもある。

マフラー交換手順① 養生
とくに純正マフラーを外す際には重量があるため、フレームやラジエターなどに当ててしまうことも。そのため、当たりそうな部分には養生テープを貼ってキズがつかないようにしておくと、作業もしやすくなる
マフラー交換手順② 落下防止
純正マフラーを外す際には下に落下させてしまう可能性もある。そのため作業時は床にも段ボールなどを敷いて作業するほうがいい。取り付けの際も不意に落としてもキズつき防止になる
マフラー交換手順③ 各部を緩める
純正マフラーを外す際も手順があり、これも取り扱い説明書に明記されている場合がある。重量物のため、一気に緩めるのではなく、マフラーを支えられる箇所以外を徐々に緩めておいてから、支えている箇所を緩めよう
マフラー交換手順④ マフラーを取り外す
純正マフラーはアフターパーツほど分割できないため、外す際に重さがあり、フレームやラジエター、外装などに当ててキズを付けないように注意しよう。できれば2人以上で作業を行なってほしい

なお、マフラーを交換した際、外した純正マフラーは廃棄してしまう人もいるだろう。ただ、バイクを下取りに出す場合に純正マフラーがあると査定が上がることもあるようだ。

また、マフラーを交換する際は、できれば純正との違いを比較してほしいと樋渡氏は話す。

「新車を購入してすぐに交換してしまうケースがありますが、できれば純正マフラーで少し走ってから、マフラー交換をしてみてほしいですね。そのほうがマフラー交換によるパワーアップや軽量化などの効果が体感でき、愛着が増すと思います」

マフラーにメンテナンスは必要なのか?

メンテナンスは素材によって異なり、チタンは錆びない素材なので、雨に濡れても水洗いで汚れを落とせば問題ないとのこと。なお、”マフラーに使用してもいい”とされるワックスもあるが、アールズ・ギアでは勧めていない。また、メンテナンス中にオイルなどが付着した場合はパーツクリーナーなどで油分を除去すること。油分が付着したままだと熱で焼き付いてしまうからだ。ステンレスは高温になると素材の性質上、少しずつ腐食が出てしまうが、耐熱性のシリコンワックスで腐食を遅らせることは可能だ。

※本記事はカスタムピープル178号(2018年4月号)の掲載記事を再構成したものとなります

取材協力アールズ・ギア
TEL0595-85-8778
URLhttp://www.rsgear.co.jp