続々と実行される独自性の強い取り組み
2016年には組織変更を実施。野島氏は相談役となり、長らく同社でマフラー製作に携わっていた増澤俊哉氏が代表取締役に就任する。増澤氏は鈴鹿サーキットで開催される数々のレースに参戦し、そこで得たノウハウを製品に反映させるなど、ノジマエンジニアリングのモノ作りには欠かせないメンバーの一人だ。同社の主力製品であるマフラーについて、増澤氏は次のように話している。
「合法かつ高性能、高い品質、耐久性、そして何よりスタイリッシュな製品作りを目指しており、これらを弊社としてはゆずれないポリシーとしています。近年のマフラーは、その多くが4-2-1方式の集合となっていますが、弊社はSC(スパイラルコレクター)システムによる4-1集合方式を採用しています。当社は今後もSCシステムを使い続け、その可能性をさらに追求していくつもりです」
同社を語るうえで欠かせないのが、SCシステムである。4-1集合方式の高回転でのさらなる伸びと、4-2-1集合方式が持つオールラウンドな扱いやすさという特性を両立する集合方式だ。集合部を絞ることで中低速域でのトルクを確保し、なおかつ集合部をらせん状として互いの排気干渉で高回転域での伸びがもたらされるのだ。
「SCシステムは集合らしいスタイルをたもっていて、部品点数も4-2-1よりも少なくなります。とくにネイキッドの場合、ノーマルマフラーは4-1風のスタイルとなっているので、交換しても見た目の違和感はありません」
スパイラルコレクターとは?
4気筒エンジンのマフラー集合方式の代表例として、4-1集合方式と4-2-1集合方式がある。4-1は高回転域にすぐれている反面、中低速で劣るとされる。対して4-2-1方式は中低速にすぐれて扱いやすいが、ピークパワーをかせぎにくい。ノジマエンジニアリングは、その双方の特性を両立させるべく、集合部を絞ることで中低速での扱いやすさを確保し、さらにらせん状とすることで互いの排気を積極的に干渉させて高回転域の伸びをも実現するシステムを開発した。この方式はSC(スパイラルコレクター)システムと呼ばれ、集合部の複雑な形状を作り出すためには、生産方法やコストなど、さまざまな困難があったという。こうして生まれたSCシステムは、その高性能と扱いやすさがストリートはもちろん、レース界でも支持を集めている。同社の4気筒大型バイク用フルエキゾーストには、ほぼすべてにこのSCシステムが採用されており、その独特なルックスは4-2-1集合方式が主流となった現代において、異彩を放つ。
また同社は、チタン製のサイレンサーを高硬度のカーボン被膜でコーティングしたDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン=Diamond Like Carbon)チタンとするなど、独自の美しさをも追求している。SCシステムによるスッキリまとまったフォルムと、深みのある黒い光沢を放つサイレンサーの組み合わせは、ひと目見ただけで同社の製品ということが見て取れる。ほかにもチタンの青みをアピールするヒートチタンサイレンサーなどもラインナップしているが、いずれのタイプも美しさを追求している。
ノジマの主力となるマフラーは性能を徹底追求
ノジマエンジニアリングの主力商品はマフラーだ。SCシステムやコニカルヘッダーなど、独自の手法を積極的に取り入れた同社製品は、その品質はもちろん、とくに性能において高い支持を集めている。カワサキをはじめ国内4メーカーの主な車種に対応する製品をリリースしており、ラインナップもビッグバイクから250㏄クラスまでと幅広い。本文中にも触れたDLCチタンやヒートチタンのほかに、メガホンタイプなど、そのタイプも豊富。自身の好みにピッタリのエキゾーストが見付かるかもしれない。