ヘッドライトまわりはバイクの顔。だが、丸目ヘッドライトを採用するネイキッドの場合は、どれも似通った形になってしまいがちだ。そんなヘッドライトまわりのイメージを大きく変えられるパーツがビキニカウルなのである。では、どんな視点から選べばいいのだろうか?
ノーマルの形状を大きく変えてはならないという規則が存在したAMAスーパーバイクで、レーシングマシンの空力性能を上げるため、苦肉の策として生み出されたとされるビキニカウル。その効果は高く、それ以来多くのマシンに採用されてきた。とくにウインドプロテクション性能は大きく向上する。ルックスと快適性の両方の向上に効くのがビキニカウルというパーツだ。
ネイキッドのドレスアップパーツとして人気が高いビキニカウルはルックスを一変させるだけでなく、コンフォート面でも絶大な効果があるビ。それがウインドプロテクションだ。走行時にライダーが受ける風圧は相当強いのだが、ビキニカウルを装着するだけで、上半身に当たる走行風は激減する。
それだけ効果の高いパーツだけに、クオリティが低いとデメリットが顕著に現れてしまうという。ビキニカウルの開発とは簡単ではないのだ。社外製のビキニカウルにおいて、圧倒的なシェアを誇るブラスターⅡを展開するNプロジェクトに、パーツ選びのポイントや注意点をうかがった。
「ウインドプロテクションを向上させたいのなら、やはり面積の大きいモノに分があります。ブラスターⅡでは、スクリーンが大きく、後端部がスポイラー形状のエアロタイプを用意しました。ツーリングで長時間高速道路を走る際に疲労が軽減できると好評です。視覚的な面でも、ビキニカウルを装着すると車体を大きく感じさせる効果が得られますから、コンパクトなマシンもボリューム感が増して、マッシブな雰囲気を出すことができます」
Nプロジェクト・ブラスターⅡの特徴
一般的にビキニカウルは汎用品がほとんどだが、ブラスターⅡは車種専用となっている。実は丸目型のライトケースは車種によって形状がさまざまで、ウインカーステーの位置も異なる。しかし車種専用なら切り欠きの加工も不要で、ボルトオン装着が可能なのだ。
ただ、パーツ選択時には、次の点に注意してほしいとのこと。
「強度と剛性は大切です。手で持って、力を入れると簡単に変形するような製品はお勧めできません。ビキニカウルが受ける風圧はかなりのものなので、剛性が足りないと容易に変形してしまいます。歪んだ状態になると空力のバランスがくずれ、ハンドルに振れが出たり、思わぬ方向に引っぱられる場合があります」
「ブラスターⅡを実際に手に取っていただければわかるのですが、かなりの厚みがあります。サーキットに持ち込んで十分なテストを行なったうえで、超高速域に耐え得るために強度と剛性に余裕を持たせたためです。また強度が高くても、精度が低くて購入時から形が歪んでいれば、ハンドリングを乱す要因になります。そのため、当社は強さの確保と成形の精度を強く意識しています」
また、強度が低い粗悪品は振動し、ビビリ音を発生させることになるという。そして精度が低くてライトホールの真円度が低いと、ライトケースにすき間が生じ、そこから光が漏れると夜間走行時に視界の邪魔になる。ビキニカウルはつねに目に入る部分に装着するパーツなので、クオリティが低いと悪目立ちするし、なにより危険だ。効果が高いパーツだからこそ、信頼性の高い製品を選び、そのメリットを享受したいところだ。
選択時に注意すべきポイントとは?
装着作業は比較的簡単だが、ライトケースと共締めする場合、固定ボルトをただ外してしまうとライトの光軸がズレてしまうので注意したい。作業時にはボルトの抜き差しを片方ずつ行なうと光軸がズレにくい。また、ハーネスやケーブル、マスターシリンダー、レバーなどとの干渉にも注意したい。
ヘッドライトルーバーは散らばりやすい光を収束させる効果も
ファッションパーツとして人気のライトルーバーだが、実は機能面でもメリットがある。近年流行のヘッドライト光源であるHIDとLEDは、ハロゲンランプと比較して大きな光量を得られるが、スペックの差ほどには明るく感じられない人もいるだろう。その理由のひとつが、HIDとLEDを採用したヘッドライトは光が拡散しやすいことだ。ルーバーを装着すると光の通り道を制限して収束を高めるので、明るさを体感しやすくなる場合が多いという。また、光の拡散を防ぐことで対向車の目にもやさしくなる。ただし、絶対的な光量は落ちてしまうため注意も必要だ。
淺倉恵介
フリーランスライター&エディター
※本記事はカスタムピープル153号(2016年3月号)掲載記事を再編集したものとなります