外装系カスタムの疑問
- 10月1日からナンバー表示の新基準が適用されたけど、これってどういうこと?
- ナンバー表示の位置や角度などに明確な規定が存在するようになりました
令和3年(2021年)10月1日からナンバープレートの新基準が施行開始
令和3年(2021年)10月1日から、ナンバーに関して新基準が適用されることを知らない人はいるだろうか? 実はまだまだ認知度が低いようなのだが、令和3年(2021年)10月1日以降、令和3年(2021年)4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届け出を受けるバイクのナンバーは一定範囲の上下向き・左右向きの角度によらなければならないこと、フレーム・ボルトカバーを取り付ける場合は一定の大きさ以下のものでなければならないことと定められたのだ。
この規定は突然成立したわけではなく、2021年3月9日、国土交通省はナンバープレートの表示にかかわる新基準適用までの期間を令和3年(2021年)10月1日以降に初めて登録等を受ける自動車(二輪・四輪車)に適用するとし、令和3年(2021年)4月1日以降に初めて登録等を受ける自動車に適用するとしていた猶予期間から延長すると発表されている。つまり、すでに予告はされていたというわけだ。
(参考)国土交通省『車のナンバープレートの表示に係る新基準適用までの猶予期間を延長します車のナンバープレートの表示に係る新基準適用までの猶予期間を延長します』(令和3年3月9日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha06_hh_000119.html
現在のナンバープレートには大きく2種類の規定が存在する
現在、ナンバープレートの表示方式は平成28年(2016年)4月1日に施行された、道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律(平成27年法律第44号)並びにナンバープレートの表示の位置・方法の詳細について定めた道路運送車両法施行規則等の一部を改正する省令及び関連告示によって厳格化されている。
実は平成28年(2016年)4月1日までナンバープレートの表示は「見やすいようにする」ことだけが求められていて、取り付け角度や位置についての具体的な規定が存在しなかった。ナンバープレートをカチ上げるように斜めに取り付けたり、場合によっては縦にしたり、丸く曲げてみたり、左右方向に角度を設けたりしても、直ちに違法行為とならなかったのは違反とする規定が存在しなかったからだ。しかし、一方ではそうした処置がナンバー隠匿と判断される可能性も否定できなかったのだ。
(参考)国土交通省『ナンバープレートの表示及び視認性についての法的整理』
https://www.mlit.go.jp/common/000040182.pdf
では、平成28年(2016年)4月1日から規定された項目とは何か。それはナンバーの回転、無色透明を含むカバー類の装着、折り返し、ナンバーカバーなどの被覆といった行為の禁止だ。この4項目に関しては道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律(平成27年法律第44号)並びにナンバープレートの表示の位置・方法の詳細について定めた道路運送車両法施行規則等の一部を改正する省令及び告示に基づき、平成28年(2006年)4月1日以前から存在するバイクにも適用される禁止事項になる。
平成28年(2006年)4月1日から、新基準が適合されないとされる令和3年(2021年)3月31日までに初めて登録・検査・使用の届け出があるバイクに関してはどうなのか。これは令和3年(2021年)10月1日から施行される新基準に移行するまでの猶予期間とされ、上記4項目が禁止されていた他、ハンバーの角度は運行中に番号が識別できる見やすい角度にすること、フレームは番号を被膜せず、運行中に番号の判読ができるもの、運行中に番号の識別に支障が生じないよう見やすい位置に表示することが求められていた。
(参照:国土交通省PDF)
https://www.mlit.go.jp/common/001118305.pdf
そして令和3年(2021年)4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届け出があるバイクは、10月1日から一定範囲の上下向き・左右向きの角度によらなければならないこと、フレーム・ボルトカバーを取り付ける場合は一定の大きさ以下のものでなければならないこととなったのだ。
- 自分が乗っているのは1989年製のバイクだけど新基準に適合する?
- 新しく登録した日にちで変わります
新基準に該当するかを左右するのは登録日でありバイクの年式や製造年、購入日ではない
新基準はナンバーの角度は上40度から下15度、左右向きは0度、回転は水平、フレーム装着は禁止、ボルトカバーは直径28㎜以下でナンバーを被膜せず厚さ9㎜以下で脱落するおそれがないモノ、という規定が定められている。
この新規定のキモは『令和3年(2021年)4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届け出がある』という点である。これは過去記事で紹介した際に担当者が誤解していた部分だが『初めて登録・検査・使用の届け出がある』ことが重要であって、過去にさかのぼって同日までに存在するすべてのバイクに適合されるわけではない、ということだ。そしてこれは過去に製造されたフェンダーレスキットなどが一律で禁止されるわけではない、ということでもある。角度に関しては新基準発表時にパーツメーカー複数に尋ねたところ、当時はおよそ45度を上限に設定したメーカーが多かったが、40度以上のフェンダーレスキットやナンバーステーが令和3年(2021年)10月1日から装着禁止になったり、法律違反になったというわけではない。
そして、ここでもう一つのキモとなるのが、これは適用されるのがバイクの年式ではないという点。『●×年までに初めて製造された』ではない点にも注目したい。2021年10月現在もなお空冷Zシリーズはカスタムシーンで大人気だが、現在では日本国内の中古車の流通量が少なくなり、ほとんどのカスタムショップは新規にカスタムマシンを製作する際にはカスタムベースとなるマシンを海外からの輸入に頼っているのが現状だ。そして海外で流通していた車両を国内に輸入した場合、国内未登録であれば新規登録となったが、今後は令和3年(2021年)4月1日以降の登録となると、ナンバープレートに関しては新基準が適用されることになる。同じ1972年製造のZ1だとしても、登録日によってはナンバーに関する規定が違うことになるのだ。これはZ1などのビンテージモデルに限らない。購入日やモデルの年式に関係なく、令和3年(2021年)4月1日以降に初めて登録・検査・使用されるのであれば新基準が適用されることになるわけだ。
バイクを購入したりカスタムする際、今まではバイクの型式や年式を気にする人は多かっただろうが、その登録日まで注意している人はまずいなかっただろう。だが、今後はカスタムをするうえで、その登録日が影響するパートが生じたわけだ。最新モデルを購入した場合はもちろんだが、年式を問わず輸入車を購入する際には、その登録年をしっかり確認することを今後はぜひお忘れなく。これはカスタムの制限とはなるが否定ではなく、法律の規定をしっかり守ればカスタムは大手を振って楽しめるのだから。
(過去に一度、この話題については本サイトで記事を掲載していますが、内容に一部錯誤があったので本記事にて訂正とされていただきます。誤解を与える記事を掲載してしまったことにつきましては、ここで改めてお詫びいたします。)
四ッ井 和彰
元・本誌副編集長。バイク業界歴は10数年。現地取材、撮影、原稿執筆まで一貫して一人で行なうことが多いワンマンアーミー。現在はwebカスタムピープルなどクレタ運営のバイク系ウェブサイト4誌分の記事製作を担当中