2014年にリリースされたギルドデザインとストライカーのコラボレー“Gストライカー”製スイングアームのオプションとして、カスタムシーンに初めてその名が登場した“セラコート”。これはどういった効果が望めるのか。日本の総代理店を務める鈴友に話を聞いてみた。
塗料に求められる防錆・耐衝撃性・耐熱・柔軟性など多数の性能をカバー
バイクの多くは金属で構成されている。酸素と触れ合って腐食することを防いだり、キズが入ったりするのを防ぐため、また見栄えの観点から、何かしら塗装したりコーティングをほどこすことが一般的だ。そのコーティングも多種多用で、そのなかの一つにここで紹介する“セラコート”が含まれる。まだカスタムシーンではマイナーな存在だが、その性能の高さからさまざまな分野に採用されていると、セラコートの日本総代理店である鈴友の鈴木代表は語る。
「当社は3代にわたってさまざまな素材の塗装を手がけてきました。そのなかで何かしら不満を感じ、つねにいいモノを模索し、いろいろな塗料を試してきた結果、たどり着いたのがセラコートでした」
「セラコートを手がけるアメリカのNIC社に足を運ぶと、まずその研究施設に圧倒されました。塗料に求められる各種性能が満たされているかどうかを厳密に検査しているのです。しかも日々理想の塗料を追求して、研究にも余念がない。実際、さまざまな処理・塗料と比較実験を行なったVTRを見たのですが、それらと比べても圧倒的な差がありました、加えてさまざまな分野で採用されているという話を聞きました。そこで、日本に導入して試しに使ってみると、確かにそれまでのモノとは一線を画していましたね」
その後、同社は本格的にセラコートの取り扱いをはじめ、モデルガンや二輪など、さまざまな分野でシェアを伸ばしているという。二輪業界では2014年の鈴鹿8耐に参戦したラ・ベレッツァのマシンのマフラーにテストをかねて導入され、その耐熱性能の高さを実証しているとのことだ。
「セラコートの魅力は、塗料に求められる数多い要素を満たしていること。具体的には防サビ・耐摩耗性・耐衝撃性・柔軟性・耐薬品性・耐熱性などですね。また放熱性も高く、国内ワークスチームのマフラーに施工してテストしたら、未施工よりも40度ほど温度が低いという結果になりました。これらの要素はASTM規格に基づき試験を行ない、高い水準でクリアしているのです」
「加えてカラーバリエーションも多く、塗膜自体も薄いため、たとえば精密部品にも使えます。今のところ施工例は少ないですが、バイクの各部に求められる要素を多数クリアできる塗料だと考えています」
また、外装パーツに施工するだけでなく、世界のレースシーンではエンジン内部のコーティングに採用され、耐摩耗・耐溶剤性能の優秀さで高い評価を受けているという。確かにセラコートはまだ国内ではメジャーな存在ではない。しかし日本導入の体制も整いつつあり、今後さまざまなシーンでその名前を耳にすることが予想されるのだ。