カスタムシーンで人気の高い加工のひとつが“バフ掛け”だ。人によってはDIYで行なっているケースもあるほど。このバフ掛けとはそもそも何なのか? プロとDIYとでは何が違うのか? バフ掛けについて根岸研磨に話を聞いてみた。
酸化皮膜を削り取って美しい輝きを手に入れる
バフ掛けの対象となるパーツの素材はアルミが多い。そもそもアルミに限らず、多くの金属は酸素と触れ合うと化合し、酸化皮膜を形成する。鉄のようにボロボロと落ちるようなサビではないが、アルミはその表面に形成された酸化皮膜の影響で、白くくすんだ状態になってしまう。
そこでポリッシュや鏡面加工という言葉が使われることもあるが、バフ掛けとは金属表面に形成された酸化皮膜を除去し、金属が持つ輝きを取り戻す作業のことを指す。
「バイクのカスタムやレストアにおいて、輝きがアイキャッチとなるため、バフ掛けするユーザーが多いのだと思います。
ちなみに一度磨いてもやはり酸化は進んでいきます。美しい輝きをキープするには、定期的に磨くこともそうですが、乗ることも重要な要素です。エンジンカバーなどは熱が入ったりすることで、まったく乗らないよりも輝きが
キープされるケースが多いですね。あと、ワックスを塗布することで酸化の進行を抑えることもできますが、ガラスコートはお勧めしません。その理由は再びバフ掛けを行なう際に、コーティングをはがすのに時間がかかってしまうからです」
こう語る根岸研磨の佐野代表。さて、冒頭でも触れたが、バフ掛けとは金属の表面を磨き上げること。単純な作業であるため、DIYで行なう者も多いメニューでもある。プロとアマの差はどこにあるのだろうか? この点も聞いてみた。
「大きなポイントは時間ですね。DIYでバフ掛けをしているオーナーさんから依頼を受けることも多いですが『こんな短期間で、このような美しい状態に仕上がるなら、最初からお願いしておけばよかった』と言われたりします。モノにもよりますが、バイクのパーツで丸1日かかるということはありません。バフ掛け専用の機材や研磨材を用いていますから。DIYの場合、耐水ペーパーを使ってコツコツと磨けば時間がかかります。その一方で時間短縮のため電動工具を組み合わせる人もいるようですが、技術やノウハウがないと表面を凸凹にしてしまったり、焼き付かせてしまうこともあるわけです」
磨くという工程に関しても、やはり技術やノウハウ、使用工具で仕上がりに差が出てくるのだ。そのため、プロショップでも時間と仕上がりの質を考慮して、同社に依頼するケースも多いとのこと。
「ただ気を付けてほしいのが、仕上がりも対象の状態によって変わってくるということです。とくにレストア系で当時の純正パーツなどは、保存状態が悪いこともあるため、磨き込んでいくと穴が開いてしまうこともあります。表面を研磨するといっても1/200㎜程度なのですが…。あと、サンドブラスをあてると表面が凸凹になるため、それをならすのにも時間がかかるということを覚えておいてください」
DIYでバフ掛けする際の注意とは
DIYでバフ掛けを行なうにあたってのポイントを佐野氏に聞いてみた。「アルマイト剥離は別にして、とにかく時間をかけて丁寧に行なうことですね。電動ツールを使えば早いと思いがちですが、表面を均一に研磨するのが難しいため、仕上がりが凸凹になることも多いのです。いくつかの番手の耐水ペーパーを用意して、番手の大きいモノから小さいモノへと変えて、コツコツと地道に磨いていきましょう」