エンジンチューニングのみならずマフラーの外観処理としても知られるDLCコーティング。これもDLCコーティングを手がける不二WPCに聞いた。
DLCコーティングとは?
炭素と水素で構成されるガスを真空チャンバーに導入し、プラズマでガスを分解して炭素を金属表面にコーティングするのがDLCコーティングだ。DLCとはダイヤモンド・ライク・カーボンの頭文字(Diamond-Like-Carbon)からそう呼ばれるように、非常に硬度の高い皮膜が形成できるという技術のこと。
摩擦低減や耐摩耗性などにすぐれており、皮膜硬度も非常に高いため、バルブ、ロッカーアームやシムなど過酷な状況にさらされ続けているパートには非常に効果的となる。しかし、基材との相性も重要で、金属の種類によっては皮膜が形成できないというケースも存在する。エンジン内部でいえば、ピストンリングのトップには適しているがセカンドリングは適していないし、シフトフォークシャフトには使えてもシフトドラムには適していないといったこともある。柔軟性が必要だったり、硬すぎるモノ同士を組み合わせると逆に摩擦が増すと考えられるパートは要注意だ。
また、その摩擦低減効果や耐摩耗性の高さからフロントフォークのインナーチューブに施工することも多くなっているのだが、仕様によってはシールとの相性が悪かったりすることもあるので、施工前にはDLCコーティングに詳しい専門ショップに相談しておきたい。
ちなみに、今回話を聞いた不二WPCだとDLCコーティングのみの施工も可能だが、WPC処理にプラスすることで、より高い効果が期待できるとのことだ。
基材で異なるDLCコーティングの施工ポイント
摩擦係数が大きいパートにDLCコーティングは適しているが、摩擦し合うパーツ両方に加工するのが正しいというわけではない。というのもDLCコーティングにはなじみも必要なので、ミッションギヤなどは一方にDLCコーティングをすれば、もう一方にはあえてしないケースもあるのだ。
DLCコーティングの施工が効果的なポイントは?
DLCコーティングがとくに有効なのはリフターやロッカーアーム。エンジン内部にあってオイルに直接漬かっていないうえに高負荷がかかる場所の保護にはうってつけともいえる。またシールとの相性はあるが、フロントフォークのインナーチューブも適している。
DLCコーティングとは1種類ではない
DLCコーティングといっても膜厚に違いがあったり成膜方法が異なるといった理由から、写真のように施工方法によっては見え方がまったく異なるDLCコーティングもある。このどちらがすぐれているというわけではなく、用途に応じて名称は同じでも使い分けがされているのだ。