Z1の登場から約10年後、水冷900㏄エンジンを搭載したGPZ900R(ニンジャ)が登場。以降、カスタムフリークから絶大なる人気を誇り、20年以上にわたり、さまざまなパーツがリリースされてきた。ここではGPZ900Rカスタムについてブルドッカータゴスの見解を聞いた。
※ここで収録する記事は基本的に過去の本誌で紹介した記事を再編集した内容となります。あらかじめご承知おきください
この記事の目次
GPZ900Rらしさを残したカスタムが主流化
20年にもわたり生産され続けたGPZ900R。その独特なスタイルと性能で人気を博し、カスタムベース車としても多くのユーザーから愛されてきたモデルだ。今なお根強い人気を博していて、中古車相場はジワジワと上昇中。中古車の価格帯もかなりピンキリになっているので、なかには低年式車や過走行など程度の悪い車両でもいいから入手したいと思っている人もいるだろう。
「今からマシンを手に入れようと考えている人は、できるだけ高年式のマシンを選ぶことをお勧めします。長い間発売されているなかで、フルモデルチェンジこそありませんでしたが、不具合があった部分が高年式になるにつれ修正されています。とくにエンジンの内部は別モノといってもいいぐらいです」
カスタムベースとして手を加えていく際、高年式車のほうが結果的に余計な出費を抑えることができることにもなるだろう。
「GPZ900Rカスタムの今までのイメージは、サイドカウルから下を外して、バーハンドル、バックステップを付けてシートをアンコ抜きする、というスタイルが定番ではあったのですが、ここ最近の傾向としてより乗りやすくしてGPZ900R自体を楽しむカスタムに方向性が変わってきてます。ルックス的にも、フルカウルのGPZ900Rが見直されていますね。4-1構造の社外マフラーにしても、アンダーカウルをそのまま装着できませんが、底を削ることで取り付けが可能です。削って装着できるならアンダーカウルを残したいという人が多くなっているように感じます」
ポジションパーツ変更による快適性向上もオススメ
GPZ900Rはハイエンドスポーツモデルとして登場したが、時代が下るにつれビッグバイク初心者向けの扱いやすいモデルという位置付けとなった。とはいえ、もとは海外向けモデルであり、ポジションがすべての日本人に適しているとは限らない。扱いやすい特性を引き出すうえでも操りやすいポジション構築はブルドッカータゴスでも力を入れているパート。同社からもポジションパーツは各種発売しているので、そういうパーツを活用して自分好みのポジションを構築することもオススメしたい。
ハンドルまわり
シート
乗り味を向上させるリヤショック交換と熱対策がマスト
GPZ900Rは人気車種ということもあり、専用パーツが非常に豊富に存在し、さまざまなスタイルのマシンが見られる。カスタムの楽しみ方は人それぞれで“これが正解”という明確な答えはないだろう。
しかし、GPZ900Rは1984年に世界最速のスポーツバイクとしてデビューしたマシン。その素性を活かしたバイクライフを楽しみたいとカスタムするユーザーが増えているようだ。性能面でマシンのレベルアップを図りたいユーザーは、カスタムを行なううえで一体どこから手を付けていけばいいのだろうか。
「まずはリヤショックを交換したいですね。生産終了からかなりの年月が経っているので、ほぼヘタっていると考えていいでしょう。交換して、モディファイするだけでも動きがまったく変わるのでお勧めです」
乗り味を大きく変化させるのがサスペンションの変更だ。リプレイス品に交換することでプリロードはもちろん減衰力も調整可能となり、オーナーの体格やライディングに合わせたセッティングができるのだ。
では、水冷4気筒900㏄エンジンを搭載するGPZ900Rの弱点としては、熱の問題が広く知られており、ラジエターやオイルクーラーを大型化しているマシンもよく見かけるのだが、こちらはどうなのだろうか。
「ライダーの走り方や使用ステージ、マシンの状態によって大容量のラジエターが必要な場合があります。しかし、ラジエターやオイルクーラーは風があたって初めて効果を発揮するアイテム。自身のマシンや走るステージによっては、必ずしも交換が必要というわけではありませんし、普段のライディングで風がしっかりあたるところで走りを楽しんでいる人はノーマルのままという人も多いですよ。
それよりも気を付けていただきたいのが、ロッカーアームとカムシャフトのカジリですね。これは構造上、仕方がないところもありまして、とくにアイドリングには気を配りたいです。油圧計を付けるとわかるのですが、1,000rpmと2,000rpmでは油圧が倍近くになります。回転数が低いとオイルの吐出量も少なく、油膜切れが起きる可能性が高くなってしまいます。そのため暖機時のアイドリングは2,000rpmぐらいの回転数で、エンジンが少し温まったら走り出すのがいい、とユーザーにはお勧めしています。できるだけ油圧を下げないようにして油膜切れを避けたいですね」
GPZ900Rならではの弱点をカスタムでフォローする
もとは1984年発売だけに、GPZ900Rには現代からすると弱点と見なされるパートがいくつか存在する。カスタムするうえで目立ちにくいパートも含まれるが、見た目ではなくまず安心して乗れる状態を構築するうえでも注目したい。
リヤショック
1番プラグホール
ラジエター&オイルクーラー
車体まわりは豊富な車種専用品の活用がオススメ
さて、走りをより一層楽しむためにも、車体まわりには手を加えたい。発売初年度モデルA1からA6までフロント16インチ・リヤ18インチだったホイールが、A7以降からフロント17インチ・リヤ18インチとなっている。タイヤの選択肢を拡大するなどの意味でも、前後17インチ化を行なうのが人気のメニューだろう。
「以前はZZR1100の純正ホイールを加工して流用するケースが多かったですが、今は社外ホイールを勧めています。さまざまなメーカーからホイールがラインナップされているということもありますし、車種専用設計で作られているモノが多いので、その手間やコスト、性能面を考えると非常に有効です」
専用設計のアイテムが多いのはユーザーにとってもありがたいところだ。気軽にカスタムを楽しめるという点でも、ボルトオン装着が可能なアイテムが多くラインナップされるニンジャは、カスタムのエントリーモデルとしての窓口が広い。気軽にカスタムを楽しめるマシンともいえるのではないだろうか。
エンジンスワップという選択も
パワーを手っ取り早く上げたい人や、安くそれなりにパワーを上げたいという人は、エンジンを換装する方法がある。一般的には設計を継承したGPZ1100やZRX1100/1200Rのエンジンを用いることが多い。ただし、GPZ900Rは通常のネイキッドモデルとは異なりエンジンもフレームの強度メンバーとする構造を採用する。他車種エンジンに換装するのなら、社外のアンダーチューブを装着するといった対策が必要だ。また電装系もGPZ900Rをそのまま流用するのか、エンジン側の電装パーツを用いるのかで処理が異なるなど注意点が存在する。
ZRX1100