灯火系カスタムの疑問
- ウインカーの小型化はどこまで許容されるのか?
- 7㎠以上の発光面積を確保するか、eマーク入り製品ならOKです
長く広まった“7㎠以上”という定義
1970〜80年代のバイク、とりわけ輸出仕様の大型モデルはウインカーが大型のモノが多く、存在感が大きかった。その理由はともかくとして、古くからウインカーを小型のモノに変更するカスタムメニューは定番でもあったが、その際には当然ながら法規との兼ね合いが存在する。
その法規とは『道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2016.04.01】〈第二節〉第137条(方向指示器)』で定められているように、光源のワット(W)数が10W以上60W以下で、照明部の面積が7㎠以上であり、橙色であること、とされている。なお10W以上60W以下という項目のうち60W以下に関しては、平成17年12月31日以前に製造されたモデルには適用されていない。
この規定は今なおウインカーに関する法規を語るうえでは外せない項目でもある。ただ、現在は法規の運用が変わってきて、ウインカーを制限する要目はそれだけではなくなった。
大きな影響を与えたのが『国連の車両等の型式認定相互承認協定における相互承認の対象項目(平成29年2月現在)』として知られる、自動車の安全・環境に関する基準の統一及び相互承認の実施を定めた多国間協定の存在だ。
参考URL
https://www.mlit.go.jp/common/001171829.pdf
日本では『車両等の型式認定相互承認協定』と呼ばれているが、以前本サイトでも触れた昼間走行灯や側方反射板の採用など、国際的な安全基準への統一を図るための措置が行なわれている。2016年の時点でも上のPDFに『6 方向指示器』と記載されているように、方向指示器、すなわちウインカーも国際基準に適合するようになったのだ。
日本の保安基準にも適合する証明はeマーク
道路運送車両法 保安基準 第137条(方向指示器)四 2において、ウインカーであると認められる条件に以下の記述がある。
二 法第75条の2 第1項の規定に基づき型式の指定を受けた特定共通構造部に備えられている方向指示器又はこれに準ずる性能を有する方向指示器
三 法第75条の3 第1項の規定に基づき装置の指定を受けた方向指示器又はこれに準ずる性能を有する方向指示器
さらに、上で挙げられた道路運送車両法第75条の2と3では、以下のような説明がある。
2 前項の規定による指定の申請は、本邦に輸出される特定共通構造部について、外国において当該特定共通構造部を製作することを業とする者又はその者から当該特定共通構造部を購入する契約を締結している者であつて当該特定共通構造部を本邦に輸出することを業とするものも行うことができる。
3 第一項の規定による指定は、申請に係る特定共通構造部の当該申請に係る構造、装置及び性能が保安基準に適合し、かつ、当該特定共通構造部が均一性を有するものであるかどうかを判定することによつて行う。この場合において、次条第一項の規定によりその型式について指定を受けた装置は、保安基準に適合しているものとみなす
これは国連欧州経済委員会規則(ECE規則)No.50に適合した製品を製造・販売するメーカーが同一のモノを日本に輸出しても、その製品は日本国内で保安基準を満たすことを示しているのだ。
協定規則第50号(UN-R50-00-S17(2015.6.15))
先に挙げた協定は、もともとは1958年に締結された国連欧州経済(ECE)の多国間協定。そこに日本が1998年に加入しているのだが、日本と協定を結んでいるのはドイツ、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、ベルギー、ハンガリー、チェコ、スペイン、セルビア・モンテネグロ、イギリス、オーストリア※、ルクセンブルク、スイス、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、ルーマニア、ポーランド、ポルトガル、ロシア、ギリシャ、アイルランド、クロアチア、スロべニア、スロバキア、ベラルーシ、エストニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ラトビア、ブルガリア、トルコ、マケドニア、欧州連合(EU)、日本、オーストラリア、ウクライナ、南アフリカ、ニュージーランド、リトアニア、アゼルバイジャン。協定締結によって国番号付きの認定マークと認定番号が付与され、たとえば日本から輸出して協定国で製品を販売する際には、日本に与えられた43を付随してE43の認定マークが用いられる。また協定規則第50号に適合したことを示す際には50Rという表記も入る。
こういった条件を満したeマーク入りであるならば、海外製であろうと日本製より小型だろうと保安基準を満たすことになる。車検適合を謳う海外製品はすでに市場に出回って久しいが、何となく小さいことに不安を感じる人も、安心して使用して問題ないのだ。

なお、これは取り扱いメーカーからも少し話を聞いたのだが、製品そのものが合法だったにしても、取り付け位置や角度を間違えたために違法状態になり、車検に合格しなかったという事態も発生しているという。そのため、本誌過去記事なども参照し、正しい取り付けを行なっていただきたい。
四ッ井 和彰
元・本誌副編集長。バイク業界歴は10数年。現地取材、撮影、原稿執筆まで一貫して一人で行なうことが多いワンマンアーミー。現在はwebカスタムピープルなどクレタ運営のバイク系ウェブサイト4誌分の記事製作を担当中