LED選びは数値だけではない! 配光が重要だ
2000年代以前の旧車なら、配線の劣化からヘッドライトが自然と暗くなっていて、場合によっては車検適合できないほど暗くなっている場合もある。それでは夜道はもちろん、走行時の安全確保にも支障をきたす可能性が高い。ヘッドライトが暗くていいことは何一つないと言ってもいい。ヘッドライトは明るいのが正義だ。
そういった暗くなったヘッドライトの補正や、今では新型モデルの純正ヘッドライトにも採用される機会が増えたことで、ヘッドライトバルブをハロゲンからLEDに変更した、あるいは変更を検討している人も少なくないだろう。とはいえ、悩みどころはいろいろだ。価格はもっとも安いLEDヘッドライトバルブなら780円というモノすら存在するし、高価格帯なら2万円近くするモノもある。価格の差が大きいし、いずれも高ルーメンを謳うモノばかり。では、そのなかから何を選べばいいのだろう?
そこで、今回は社外LEDヘッドライトバルブを選ぶにあたり、安モノだと陥りがちな「まぶしいけど暗い」状態について説明しよう。
この「まぶしいけど暗い」とは何ぞや? LEDはもともと指向性が強い光だ。ヘッドライトとして用いて正面から見ると目を開けていられないほど強い光に感じられる。ただ、近くから見るとまぶしいほどなのに、バイクに乗った状態だと非常に暗く感じることがある。光が拡散していて視界上部の標識だけ明るかったり、やたら左側だけ明るく見える、なんてこともあるが、進行方向正面は十分な明るさがなくて見えにくい。だから「まぶしいけど暗い」のだ。
なぜこんな状態が起こるのか? 使用ワット数などがハロゲンとまったく同一だという条件であれば、バルブ側の配光が適切ではないために起こることが多い。そもそもバイク用と謳っていても、販売元、あるいは開発メーカーはあらゆるタイプのヘッドライトで試験しているとは限らない。とりわけハロゲンヘッドライトの現行車はマルチリフレクターと角型ヘッドライト全盛だが、ヘッドライトのレンズにレンズカットがある丸形ヘッドライトで試験しているのかすら怪しい場合だってある。安モノがその適合確認や試験にどれだけ時間を費やして販売しているのかは…、まぁ想像どおりだろう。
企業努力により破格値で提供していることもあるかもしれないが、製品の価格とは製品単体の部品代以外にも、さまざまな研究開発コストが加算されて設定されるものだ。安いモノには安い理由がある。ではなぜ安いのか? 国内と海外の製造コストにそこまでの差が生じるからか? それともそれ以外の理由もあるのか? そういったことも考えてみると、一見まぶしいけどバイクに装着すると前方が暗いLEDヘッドライトバルブに遭遇する可能性を減らせるかもしれない。そのためにはバイク用であるのはもちろんのこと、できれば有名メーカーから選択するのが正解への早道だ。安モノでも問題なかったりよかったということもあり得るだろうが、ハズレを引く可能性が高いのであれば、あえて選択する必然性は低いのではないかなとも思う部分だ。