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愛車の印象をリーズナブルに変更できるのがステッカーチューンのいいところ
もっとも手軽なドレスアップ作業の一つがステッカーチューンだ。市販されている各パーツメーカーやケミカル類のステッカーを一度は誰もが愛車に貼ったことがあるはずだ。また、レーシングマシンに貼られている多数のスポンサーステッカーを見て「あんなふうに愛車を彩りたい」と思っている人も少なくないはず。しかも、そう高いわけではない。小さいステッカーなら300円くらいだ。そのうえ手軽。何と、貼るだけ。
…なんてことを書くと「じゃあ普通に貼ればいいんでしょ。“台紙を剥がして対象にペタリ”じゃん。それ以外に何か紹介することでもあるわけ?」なんて言われそうだが、実はキレイに貼るテクニックは存在する。こういったことを知っていると知らないのでは仕上がりの美しさにも差が出てくる。同じステッカーでも片やキレイに貼れているのに、片や剥がれかかったり歪んでいたり、シワが出ているようでは何とも残念な気持ちになってしまう。せっかくならキレイに貼りたいものだ。
貼り方にはコツがある! しかし難しいことではなく丁寧に貼ろうとする配慮の連続
では具体的にはどうするのか? まずは清掃と脱脂。バイク側をキレイに清掃し、汚れが付着していない状態にしたうえで脱脂を行なう。ステッカーとの密着面には極力、何もない状態が望ましい。それがワックス類でも同じで、極力ワックスなども取り除いておきたい。そうでないと密着性が低くなり、いつしか“ペロン”と剥がれてしまうからだ。
続いて位置決め。バイクは一部だけ凝視されるわけではなく全体を見られる。ステッカーはそのアクセントになるわけだが、そのアクセントが車体のラインに対して変な角度になっていたり、妙な場所に配置されていれば、全体のイメージ悪化につながってしまうわけだ。もっと言うと貼る人のセンスも問われてしまうので、どこにどう貼ればいいのかは、まず熟考することをお勧めする。
一度“ここ!”と思ったとしても、実際に貼るまで少し待ってみるのも手だ。そして貼ったところを想像しながら、愛車から少し離れて全体を見てみよう。その位置にステッカーがあるとそのステッカーだけ派手になりすぎないか? 周囲と浮いたりしていないか? そんなことを考えてみると、ほどよいバランスが見えてくるはず。
貼る位置にマスキングテープで仮留めした。さぁようやくここで台紙を剥がす段階にたどり着くが、いきなり台紙を全部剥がさないこと。大型のステッカーは台紙が左右分割式になっていることもあるが、小さいモノはたいてい一面のみ。だからといって全部剥がしてしまうのではなく、一部のみを剥がしてから貼り付ける。
この際にお勧めなのが、ステッカー中央部から貼ること。ステッカーを貼った場所に気泡が残らないよう、外に空気を押し出すためと、ステッカーを仮留めした場所に正しく貼るためだ。気泡に関しては中央から外に向かって押し出すように貼ればいい。携帯やスマホの保護フィルターを貼ったことがあれば、どんなものかは想像できるはずだ。ただ、残念なことにバイク用ステッカーには気泡が残らないような仕組みや素材が採用されていないことが大半なので、より注意深く貼っていただきたい。またステッカーを端から貼ると、気持ち斜めになってしまうこともある。というのも、バイクの外装部分は意外と完全な平面がなく、ほとんどが緩やかな局面で構成されているからだ。まっすぐと思った場所が、実は少しだけ曲線になっていることもめずらしくないので“ここ”と決めた場所の中央から貼ると位置した場所に配置させやすくなる。
以上のように、貼るまでには考えたいプロセスが存在する。なお、外観に手を加えるということは個々人の美的センスが問われる。何がカッコいいと思うかはさておいて、ステッカーはただ貼れば無条件でカッコよくなるわけではない。一つだけならセンスよく周囲と調和したのに、複数になったら台無しになった、なんてこともあり得るのだ。なので、これはカスタムマシン製作時にもよく言われることだが、完成形を想定してステッカーは貼るようにしよう。一つだけ貼りたいのか、それとも最終的にはその周囲にステッカーを集中させたいのか。それは文字列だけなのか、それともイラスト調のモノも加わるのか。その結果、ゴテゴテとした印象を与えるのか、それともスマートにまとまった印象を与えるのかは、あなた次第なのだ。
曲面を貼るにはノウハウが必要だ
バイクは曲線で構成されているとは先にも書いたが、おかげでバイクは曲面だらけだったりする。平面で構成されるステッカーを曲面に貼れば、ズレてシワや歪みが生じやすくなる。ではどうすればキレイに貼れるのか? そのノウハウを伝授しよう。
ラッピングやラインは丁寧な作業とワザが活きる
ステッカーという括りで紹介するが、いわゆるラインテープによる外装カスタムもステッカーを貼る要領で行ないたい。基本的に作業の内容そのものは難しいわけではないが、慎重さが仕上がりを左右するパートでもある。ちょっとした歪みは近くで見ると気にならないかもしれないが、離れて見ると違和感になる可能性もある。その逆もしかりだ。人に見られることを前提に、トコトンこだわり抜くと完成度が高まるぞ! 今回は過去に本誌で取材したプロのお手本を紹介する。
最終的に行き着くのはオリジナルの製作! ただし難易度高
こちらはステッカー製作用カッティングマシンなどの機材、さらにはデータを加工するペイントツールがないと手を出しにくいのだが、ステッカーを自作するという手もある。こういうモノを活用すれば市販されていないオリジナルステッカーを自作することだって可能なのだ。決して安くはないのが難点だが、一度そろえれば今後量産したり、別画像をステッカー化できるのは大きい。
なお、オリジナルステッカーを製作する際は個人の趣味で楽しむ範疇であっても、他者の権利を侵害しないよう、くれぐれもご注意いただきたい。