吸気系カスタムの疑問
- 社外キャブレターの購入時、どんな注意が必要?
- 用途やねらいを考えておきましょう
この記事の目次
排気量に最適な口径選びはもちろん、重要なのは何を求めるかという主体性
大径化はパワーが出る。しかしやりすぎには注意
レーシングキャブレターにはいくつかの口径が設定されている車両もある。たとえばGPZ900Rは純正キャブレターの内径がφ35mmだが、GPZ900R用TMRキャブレターとしてはφ36mmとφ38mmの2種類がラインナップされている。FCRならφ37・39・41mmと3種類だ。こういった場合、どれを選べばいいかで頭を悩ませることだろう。基本的に口径が大きくなればパワーを出しやすくなるが、大きすぎると流速が稼げなくなり、高速域でのパワーが出ないばかりか、低中回転でのトルクもなくなるなど、乗りにくくなってしまうこともあるのだ。逆に小径であればさらなるピークパワーの向上は得にくいが、低中回転域のピックアップが良好になりやすいという傾向もある。
この口径の選択時、以前よく聞いたのは「今後どうするのかをよく考えて交換してほしい」というカスタムショップからの声。普通は購入したキャブレターをそう何度も交換しない人が大多数なので、ボアアップを想定しているならその排気量に見合ったキャブレターを最初から購入するのも手だ、という話だ。現状の排気量にとって大径すぎてもセッティングである程度はカバーできるので、今後の展望も踏まえたうえで、マシンの状態、どういった特性をねらうかを熟慮したうえで選ぼう。
ファンネルも特性を左右する
レーシングキャブレターに装着されるファンネルは、全長が長ければ低中回転向きでトルクを出しやすく、逆に短ければ高回転域のパワーが出しやすい、とされている。ただ、ファンネルのカール部分の形状によっても変わることがあるため、長さはあくまで目安の一つと考えるべきだろう。理想の特性を目指して、いろいろな長さのファンネルを試してみるのもカスタムの楽しみの一つだ。
絶対的な正解はないが、理想への手助けがキャブレター選び
誰しもが、ポンと『GPZ900RならFCRφ37mmとロングタイプファンネルがベスト』と答えを出せれば、豊富な種類から選択に悩む必要もなくなるのだが、残念ながらそれにあてはまる人もいれば、そうでない人もいるのがバイクカスタムの世界。そもそも、走るシチュエーションやバイクに望む特性がみんな一緒ということはあり得ない話だ。
それに”結果としてパワーアップが期待できる”といっても、それは絶対的な数値の話であって、扱いやすいだとか乗りやすいか、とはまた話が別だ。そのため本誌に掲載されているカスタムマシンを参考にしつつも、最終的に自分がどんな特性を目指しているのかをよくよく熟慮していただきたい。そして得意なショップに相談してから購入することをお勧めしたい。キャブレターとはドレスアップパーツではないからだ。
純正キャブレターでも特性の改善はねらえる!
ところで本稿はレーシングキャブレターについて触れてきたが、レーシングキャブレターのアクセルにダイレクトに反応する特性ではなく、純正キャブレターの多数に採用される負圧式のファジーさを好むライダーもいる。そんな純正キャブレターでもジェットニードルやメインジェットを工夫した社外キットも存在している。そういったパーツを組み込むことで、純正キャブレターでもよりスムーズな特性に変更することもねらえるのだ。