マフラーの疑問
- マフラー形状の違いは性能の違いに直結する?
- 良くも悪くも違いが生まれます
この記事の目次
マフラーの形状こそが出力特性を左右する
マフラーはいかに排気ガスを効率よく排出するか、つまり排気効率を高めることを主眼として交換されるケースが多いパーツである。その効率をどう向上させるかをテーマに、各マフラーメーカーはテストを繰り返している。
とくにマフラーの性能の大部分は、排気ポートから集合部以前のパイプで決まるといわれている。だからマフラーとは排出された圧力波を最大限に活かすべく、エキゾーストパイプの長さや径、さらには径を途中で変化させたり(コニカルヘッダー)、エキゾーストパイプを途中で連結させるなどの方法を採用することで、出力特性の変化やパワー&トルク向上をねらっているのだ。
そのため、各マフラーメーカーの開発コンセプトの違いによって、たとえば同じ車両のマフラーでも別モノの特性になっていることもある。仮に初期型ゼファー1100用のマフラーがあったとして、A社は高回転域の強化を重視した出力特性になり、B社は低中回転域を重視した設計になったりといった違いが生じることもあるのだ。その場合にはA社製とB社製ではパイプの管長や管径、集合部分までの距離や角度が異なることもある。そういった違いが出力特性の違いをもたらしているのだ。
手曲げと機械曲げ
パイプ径を途中で変えるコニカルヘッダー
スリップオンサイレンサーの恩恵は主に軽量化
では、性能の大部分『ではない』とされるサイレンサーの長さや太さで性能が変わるのか? とりわけミドルクラス以下のモデルに多いスリップオンサイレンサーだと性能は変わらないのか。
スリップオンサイレンサーはフルエキゾーストと違い、集合部以降のセンターパイプとサイレンサー、もしくはサイレンサーのみ変更するため、集合部やエキゾーストパイプはノーマルのままだ。しかし先にも触れたが、出力特性に大きく影響を与えるのはエキゾーストパイプであり、そのためフルエキゾーストほど出力特性の大きな変化は望めないのが現実だ。
しかし、ノーマルマフラーのサイレンサーは消音するため、内部を区切った多重構造を採用している。一方、社外品は内部にパンチングメッシュとグラスウールを組み合わせて消音している。その構造から、純正と比べて軽量化というメリットを体感することはできる。
一部の変更が車両全体のバランスに大きな影響を及ぼすこともある
サイレンサーの変更で軽量化できるとは触れたとおりだが、では、それ以外に違いはないのか。厳密にいえばサイレンサー内部の長さや太さでも性能は変わる。これは裏を返せばトライオーバルなどスクエアなデザインのモノと、伝統的な丸筒のサイレンサーとで、内部の長さや太さ、構造がまったく同じであれば、性能面で大きな違いはない、ということでもある。
また、一般的にはサイレンサーは細いと高回転で伸び、太ければ抜けがよくなるという傾向があるとされているが、体感できるほど極端に変更してしまうと、トータルで見るとパワーダウンしている結果になりがちとのこと。
そもそも、マフラーメーカーはエキゾーストパイプだけを考慮して設計しているわけではなく、サイレンサーの長さや形状も考慮して全体を設計している。それもあり、フルエキゾーストのうちサイレンサーのみを他社製に変更してしまうと、フルエキゾーストとしての性能が向上するとは限らないのだ。ルックス面での交換が主な理由のようだが、好みの見た目と引き換えに性能低下をもたらすかもしれないデメリットもよく知っておきたい。
なお、サイレンサーを交換したことで排気音量の規制値を超えるのはNGだし、車検適合のマフラーは出荷状態のままでなければいけないことも知っておこう。