ウィリーのもう一つの雄・ビレットパーツ
同社のパーツで、スイングアームと人気を二分しているのがビレットパーツだ。チェーン引きなどのスイングアーム用パーツの製作からスタートしたが、現在はステアリングブラケットやカバー類など、多くの製品をラインナップ。質感の高い仕上がりに魅せられる人は多い。そのビレットパーツを担当する保隆氏はこう語る。
「必要な強度や剛性を確保することは大前提ですが、とにかく軽く作ることを考えています。可能な限り肉厚は薄くしたいですね」
設計時には3Dモデルを製作し、三次元解析を行ない、どこの肉を抜けるかの検討もされるという。スイングアームの製造がハンドメイドの職人仕事であるのに対し、こちらは最新技術が駆使されている。この二面性もウィリーの独自性を表す一例だ。担当する作業と方向性は異なるが、富永父子の仕事に対するこだわりは並ならない。己の理想とするパーツを作り上げるため、一切の妥協を許さない。だからこそウィリーのパーツは魅力的なのだ。
そのウィリーのビレットパーツは、ひと目で見てウィリー製とわかる。その理由のひとつが素材だ。同社が主に使用しているAP2000は、非常に硬く加工に時間がかかるが、ポリッシュしたときの光沢がじつに魅力的。もちろん、見た目だけで選んだ素材ではない。素材自体の強度が高く粘りが強いので、転倒時にも破損に強い。構造でも強度を高める工夫がされている。
ステムキット
ライディングステップ
ヘッドライトステー
フローティングキット
油圧クラッチシリンダー
スプロケットカバー
カバー
クラッチカバー
シリンダーヘッドカバー
フォークボトム
削りの進化
コンピュータ制御のNCフライスは、日進月歩の進化を遂げている。ウィリーでは最新技術をフォローし、製品作りに役立てている。滑らかな三次元曲面、剛性を向上させる細かなリブの加工などは、制御ソフトを使いこなしてこそ実現するものだ。削り跡をあえて残し、デザインに活かしているところは、ウィリー独自のセンスだといえる。